2011 Fiscal Year Annual Research Report
規則化・相分離過程における3次元ドメイン構造の形成と時間発展
Project/Area Number |
22360267
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松村 晶 九州大学, 工学研究院, 教授 (60150520)
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Keywords | 電子線トモグラフィー / Ni基規則合金 / Fe基規則合金 / 相分離 / 規則化 / Phase-Field法 |
Research Abstract |
本研究では3次元の相分離・規則化組織を実験解析する有効な手法の確立を進め、同時に理論的な観点からの解析も行い、組織学的観点から相分離・規則化過程を明らかにすることを目的としている。今年度は、昨年度製作した3軸で試料結晶方位調整が可能な電子顕微鏡用試料観察ホルダーについて、正確な試料結晶方位合わせを行うための台座を開発して研究に供した。これにより観察試料のディスク法線軸(z軸)中心の回転の精密な制御が可能になり、結晶性試料の3次元組織再構築に必要な特定の結晶軸を中心にした傾斜透過像シリーズの取得が可能になった。次に、1173Kで1日間焼鈍した後に973Kで熱処理を施したFe-14.3at%Al-10.3at%Ni合金の2相共存状態(不規則A2相+規則B2相)について解析を進めた結果、B2初期析出粒子内部に生成したA2相の3次元体積を見積もることに成功し、その体積率が成長過程において減少することが明らかになった。すなわちA2相の成長は単純なオストワルド成長ではなく、B2初期析出粒子とA2母相の間の拡散も影響していることが示唆された。一方、二段階熱処理(1213K上で0.75時間焼鈍後に1023Kで焼鈍)したNi-8.5at%Al-5.4at%Ti合金のγ/γ'2相組織について、オメガフィルターを装着した超高圧電子顕微鏡による電子エネルギー損失Tiマップによる3次元再構築像を取得して3次元空間での元素分析を行ったところ、γ母相、γ'初期析出相、γ析出相のそれぞれのTi濃度がほぼ4:5:4であることが明らかになった。このように3次元空間での濃度情報を得ることによって、初めて局所的な濃度解析を可能にした。さらに、規則化と相分離のカップリングを考慮した時間発展方程式により、上Fe-Al-Ni合金の(A2+B2)相分離組織の時間発展のシミュレーションを進め、実験結果と比較し得る過程を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の当初計画で、(1)電子分光型TEM用3軸傾斜ホルダーの開発、(2)Fe-Al-Ni合金の相分離組織の3次元解析、(3)Ni-Al-Ti合金の規則ドメイン組織の3次元解析、(4)規則ドメイン形成の時間発展シミュレーションの4つの課題を設定しており、それぞれについて計画通りに進捗した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度までにFe-Al-Ni合金とNi-A1-Ti合金の両方について、それぞれかなりの実験結果を得るに至っている。最終年度となる来年度は、これらの実験成果についてより詳細な解析を進める。加えて、並行して進めている計算シミュレーション結果との比較を進め、実験では明らかにされにくい局所的な濃度と規則度の相関について熱力学的観点からの考察を進める。
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[Journal Article] High-angle triple-axis specimen holder for three-dimensional diffraction contrast imaging in transmission electron microscopy2011
Author(s)
S. Hata, H. Miyazaki, S. Miyazaki, M. Mitsuharaa M. Tanaka, K. Kaneko, K. Higashida, K. Ikeda, H. Nakashima, S. Matsumura, J.S. Barnard, J.H. Sharp, P.A. Midgley
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Journal Title
Ultramicroscopy
Volume: 111
Pages: 1168-1175
DOI
Peer Reviewed
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