2011 Fiscal Year Annual Research Report
アルカリニオベート系強誘電体の相転移と物性に関する構造的研究
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22360272
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
石澤 伸夫 名古屋工業大学, 工学研究科, 教授 (90151365)
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Keywords | 無鉛強誘電体 / 単結晶精密構造解析 / 分域構造 / 自発分極 / 構造相転移 / 斜方晶 / 正方晶 / 立法晶 |
Research Abstract |
本研究課題の目的は、無鉛系圧電体のひとつとして注目されているKNbO_3(KN),Na_<0.5>K_<0.5>NbO_3(NKN)などのアルカリニオベート系単結晶を用い,これらのゾーンセンター型相転移とこれに伴う物性変化を構造的立場ならびに計算科学的立場から調べ、その分域構造や自発分極の発現機構、温度依存性、および添加物効果などを解明し、これらの工学的・工業的応用に必要な科学的基盤を確立することである。平成23年度はこの目的を達成するためにまず良質なKNおよびNKN単結晶の合成をフラックス法で行い,CCD検出器を取り付けた単結晶X線回折計を用いて結晶評価を行った。比較的単純な分域構造をもつNKN単結晶をもちいて高温構造解析実験を行った。室温から1000℃の間の種々の温度で得られた回折データから双晶構造を決定し,各分域の原子配列の温度依存性を明らかにした。斜方晶および正方晶の強誘電相においては,原子座標と公式電荷を用いて自発分極に与える各陽イオンの寄与の大きさを推定した。相転移点近傍では細かい温度ステップで回折データを収集し,相転移点の決定を行い,相転移時に起きる単位胞体積の不連続的変化を明らかにした。NKNの斜方-正方晶間の昇温時の相転移点は465K,降温時は446Kであり,正方-立方晶間の温時の相転移点は671K,降温時は666Kであった。相転移の次数は1次と推定された。Nb原子の配位数が相転移とともに変わっていく様子を明らかにした。常誘電相である立方晶においてグラムシャリエ級数展開法を用いた非調和熱振動解析を行い,構成原子の確率密度分布関数を求めた。また,Liを添加したLi_xNa_yK_<1-x-y>NbO_3系強誘電体結晶(LNKN)の単結晶構造解析を室温にて行い,Li無添加のNKN結晶との比較を行った.LNKNはNKNと比較してより複雑な構造をとることが逆格子断面の撮影により明らかになった.その他,関連化合物の解析を行い,また測定機器の精度向上を図った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度はKNおよびNKNのデータ解析に加えてLNKNの測定に入ることができ,研究計画・方法記載の年度計画と照合すると,ほぼ順調な研究の進捗状況にあるといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後も交付申請書記載の研究計画に従って進める.研究を遂行するうえで特に大きな障害となるような問題点は発生していない.
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Research Products
(7 results)