2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22360295
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
北田 正弘 独立行政法人物質・材料研究機構, 元素戦略センター, NIMS特別研究員 (70293032)
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Keywords | 日本刀 / 火縄銃 / 西洋剣 / マルテンサイト縞状組織 / 柿右衛門焼き / ナノ結晶 / ペルシャ銅剣 / 磁気測定 |
Research Abstract |
今年度は下記の文化財等の研究を推進した。それそれについて実績概要を述べる。 (1)鉄鋼文化財・・・日本刀および新たに比較研究のため西洋刀剣の微細構造を調べた。日本刀では鎌倉および室町時代刀のマルテンサイト相の構造をEBSP、透渦電顕で解析し、超鉄鋼サイズの結晶粒であること、極めて良質の構造であることを明らかにじだ。西洋刀剣は層状マルテンサイトの縞状組織からなりバネ特性が優れることを解町した。 (2)陶磁器文化財・・・柿右衛門様式の釉薬を透過電顕で観察し解析した。赤釉薬は20-150nmのEe_2O_3結晶からなり、マトリックスがPbを含むガラスで、これらの組み合わせが美しい色を示すごとを明らかにした。 3鉱物系染料・・・室町から江戸時代に輸入された唐桟(とうざん)の黄色染料がクロム酸鉛であることを明らかにしたが、綿糸以外の羊毛糸について検討した。羊毛では表面に数μmの結晶からなり、羊毛内部ではアモルファスナノ粒子からなっていることを明らかにした。また、化合物のデコレーション効果で羊毛の微細構造が明らかになった。 (4)青銅文化財・・・紀元前17世紀頃のペルシャ製銅剣の内部構造を観察し、Feナノ粒子が分散していることを発見した。これによって、銅でありながら磁気を示すことを初めて明らかにし、数kOeまで磁化が飽和しない原因として、Feナノ粒子の相互作用で高磁場まで飽和しないことを明らかにした。新たに開発した磁化測定の方法は銅文化財の産地同定、加工方法の解明に役立つものと期待される。火縄銃の鋼、浮世絵顔料等についても研究した。
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Research Products
(21 results)