2012 Fiscal Year Annual Research Report
潤滑剤の流体・ミクロ挙動を考慮した塑性変形予測に関する研究
Project/Area Number |
22360303
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
久保木 孝 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (90361823)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 眞 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (10106883)
坪倉 誠 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40313366)
松井 和己 横浜国立大学, 環境情報研究科(研究院), 准教授 (00377110)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 塑性変形解析 / 数値流体力学 / Navier-Stokes方程式 / Reynolds方程式 / 深絞り加工 / 潤滑 / 引抜き |
Research Abstract |
(1:塑性・流体実験) 深絞り加工における流体潤滑剤供給機構の検討:本研究では,高圧水を用いた深絞り加工を対象とし,解析の適用と,条件適正化検討の対象としている.一昨年度の数値解析の結果,ノズル径は大きいまま穴の数を増加させる方が,成形品表層部への損傷を抑制でき,かつ,成形性も向上するとの予測結果が得られた.その数値解析結果に基づき,ノズル数を増加すると高圧水による潤滑効果は向上するものの,ダイスの強度低下を招き,繰り返し使用可能な回数が低下する結果となった.新たに仰角90度にノズルを配置し,ノズルを連結するように溝を配した新型ダイスを考案し,開発中の解析システムを用いて,有効性を確認,実験により検証した.その結果,従来に比べて深絞り成形可能な壁高さが向上するなどの改善効果が確認された. (2:塑性解析&流体解析) 塑性解析:昨年度,流体解析の入力データに適したデータを出力するための塑性解析モデルを構築したのに続き.今年度は,塑性解析の入力データに適したデータを出力するための流体解析モデルを構築し,塑性解析モデルと流体解析モデルのデータの相互通信を可能とた. (3:塑性解析&流体解析)流体解析モデル:昨年度,標準的な深絞り途中の幾何学データを基に,Navier-Stokes方程式に基づく流体解析モデルを構築し,ダイスと材料の間の流れは相流であると仮定して,極小すきまを流れる流体に適した解析パラメータの調整を行った.しかしながら,解析の条件によっては,収束しないなど,解の安定性に問題があった.そこで,今年度は,層流を前提とするReynolds方程式による流体解析モデルを構築した.この方法では,流体の膜圧方向には理論解を用いることができ,膜圧方向の数値積分が不要となるため,安定した解が得られるようになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最終的には①潤滑剤の流体解析と②塑性変形解析とを融合した解析システムの構築を目的としているが,それぞれの解析モデルのプロトタイプは完成し,②→①,①→②へのデータの受け渡しまで完成している.また,①流体解析モデルの構築の中で,新たに,高圧水供給口ノズルの数値表現を取り入れ,薄膜を対象としReynolds方程式を取り入れたことによって,流体解析の更なる安定化・高速化を達成している.また,実験においても従来の高圧水供給ノズルに対する改善形状方針も複数種類見つかっており,概ね順調と考える.
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Strategy for Future Research Activity |
(1:塑性・流体実験) 深絞り加工における流体潤滑剤供給機構と引抜き加工における潤滑メカニズムの検討:未だ考案中のダイスは繰り返し使用に対して脆弱で,数十回の使用の後,破壊することが多い.この一因として,ノズルが短くダイス外表面と高圧水溜まりまでの構造壁が薄いことが考えられる.そこで,開発中の解析システムを用いてノズル長さの適正化を行いダイスの強度を向上させ,繰り返し使用に耐えるダイス設計を試みる.さらに,深絞り加工に加えて,線材の引抜き加工における潤滑状況の分析を行う.引抜き加工では潤滑油が圧力によって供給されるのではなく,引き抜かれる線材の表面に引きずり込まれる.線材の速度の上昇とともに潤滑性能が改善することが知られているが,これまでメカニズムの明瞭な説明はなされていない.開発中の解析システムの適用による潤滑性能改善のメカニズム解明を目的に,対応する実験を行う. (2:塑性解析&流体解析) 塑性解析と流体解析の連成:これまで,流体解析の入力データに適したデータを出力するための塑性解析モデルを構築し,塑性解析の入力データに適したデータを出力するための流体解析モデルを構築している.さらに,塑性解析と流体解析の両者の状況が両立するまでの収束解析を実現する. (3:塑性解析&流体解析)流体解析モデル:これまで,層流を前提とするReynolds方程式による流体解析モデルを構築しているが,現状では,くさび効果のみを考慮している.さらに,ストレッチ効果,スクィーズ効果を反映させるために解析の拡張を行い,高精度化を図る.
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