2011 Fiscal Year Annual Research Report
スパッタリング・ターゲット用高融点金属の高純度精製
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22360311
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
三村 耕司 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (00091752)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
一色 実 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (20111247)
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Keywords | 高純度精製 / 高融点金属 / 高純度金属 / バナジウム / モリブデン / プラズマ溶解 / 水素プラズマ / 不純物除去 |
Research Abstract |
本年度は金属Vを対象に、水素プラズマ溶解(HPAM)による高純度精製を図った。また電子ビーム溶解(EBM)も実施し、Vの高純度化に対する両溶解法の精製効果を比較検討した。 具体的には、公称純度99.7%以上の2種類の市販V〔酸素、窒素が共に100mass ppm以下の高純度V、酸素=1~2mass%、N=0.1~0.2mass%の低純度V〕を原料(約30g)に、HPAMにより溶解精製した。プラズマ生成ガスにはAr及び10~50%H_2+Arを用い、溶解は片面5~30分、試料を裏返し同時間、計2回行った。同様にVのEBMを行った。溶解前後の不純物分析には、GDMS、不活性ガス溶融法等を用いほぼ全不純物元素の濃度変化を求めた。 得られた成果は以下の通りである。金属不純物の蒸発除去に関しては、原料Vに数十~数百mass ppm含まれたFe,Al,SiなどはHPAMにより半分程度低減し、何れも100mass ppm以下に減じ、一定の精製効果は見られたが、水素量や溶解時間を増してもそれ以上の減少は認めらなかった。EBMでもほぼ同様で、HPAMおよびEBMともにVに対し、顕著な高純度精製結果は得られなかった。 一方、非金属不純物に関しては、1mass%以上の酸素を含む低純度Vで僅かに脱酸が認められた程度で、HPAMによる有効な脱酸、脱窒結果は得られなかった。これに対しVのEBMでは、溶解時間20分でV蒸発損失は50%以上になるが、酸素は1.4mass%から0.5mass%以下に低減し、相応の脱酸効果が確認された。ただし、脱窒は全く認められなかった。 前年度のMoの高純度化では、HPAMの優れた精製効果が確認されたが、Vの高純度化は相対的に困難であることが分った。そこで、次年度は活性水素の精製能力を高める方策により、Vの高純度精製の向上を図りたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Moの高純度精製に対し水素プラズマ溶解は非常に有用であった。一方、Moに比し酸素、窒素との親和力が大きく活性なVの場合、常圧下での水素プラズマ溶解では高純度化が困難であった。この結果はある程度予想されたものであるが、今後水素プラズマの精製能力を向上し、当初の目的(高純度Mo,Vの実用的な溶解精製法の開発)を達成したい。
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Strategy for Future Research Activity |
常圧(1気圧)での水素プラズマ溶解では高純度化が困難であった金属Vに対し、活性水素Hの精製能力を高める為、減圧下での水素プラズマ溶解を実施し、Vの高純度精製を図る。減圧下では水素H_2の解離が進み、プラズマ高温内での活性水素Hの濃度増大と存在時間延長が期待できる。また、高融点金属としてZrも対象に加え、これまでのMo,VおよびZrに対する常圧及び減圧水素プラズマ溶解の高純度精製効果を比較検討する。
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