2011 Fiscal Year Annual Research Report
柑橘果皮中の薬効成分分離を目指した溶媒循環型超臨界抽出‐精留法の開発
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22360317
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
猪股 宏 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10168479)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 善之 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (50243598)
大田 昌樹 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (50455804)
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Keywords | 超臨界流体抽出 / エタノール / 水 / ノビレチン / 相分離 / 精留 / 分画 |
Research Abstract |
今年度は,前年度に開発した超臨界流体抽出-精留装置を用いて温度,エントレーナーなどの操作条件の影響を調査し,未利用柑橘果皮由来ノビレチン濃縮実験への応用を図った.これまでの成果より,前段の超臨界-エントレーナー(エタノールおよび/または水)抽出を均一相系に保持し,後段の精留プロセスに温度勾配を付与し系内の相分離と自然還流を誘導した結果,例えばフラボノイドの1種である7-Hydroxyflavone(7HF)とその類似化合物であるAnthracene(ANT)の混合物を対象とした実験では,圧力12MPa,エタノール濃度11.5%,抽出部温度363K,精留部温度353~358Kにおいて,塔頂での高度な成分分離が確認された.すなわち,定常後に塔頂から得られる7HFはUV-vis分光分析の検出限界以下となり,より低極性なANTが塔頂から独立して得られる新しい実験結果を得た.また,得られた基礎データに基づき操作条件を精査した結果,エタノール濃度の低下に伴いANTの回収率が向上しており,これは系内の気相割合の調整による制御法を示唆するものであった.最終的に,類似の条件で青島温州みかんの凍結乾燥果皮を対象としたノビレチンの分画を検討した結果,エタノール添加系において塔頂からノビレチンおよびカロテノイドがクロロフィルと分離して得られていた.次年度は,さらに水添加系の実験を実施することで目的としたノビレチンのさらなる選択的分離についての検討を行う予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究で開発した抽出-精留プロセスにおいてノビレチンの高収率・高選択的分離法が合目的的に確立されたことに順調な成果獲得の進展を見ることができた。また,特に分離が難しいカロテンなどの低極性夾雑分を抑制した操作条件の特定に想定以上の成果を確認することができる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,さらなる運転条件の最適化にむけ、基礎となる相平衡(分離係数)などのデータに基づいて、抽出精留プロセスのシミュレーションを可能とする手法を開発する。そのシミュレーションにより、操作変数の感度解析を行い、最適化設計手法を提案する。 また、同時に実験で得られた超臨界抽出物の薬理活性試験などについて基礎研究を引き続き検討し、目的に合致した濃縮組成の設定指針についての知見を蓄積する。
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Research Products
(4 results)