2011 Fiscal Year Annual Research Report
噴霧燃焼時の環境汚染物質低減を目指した超高圧パルス噴霧特性の解明
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22360318
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
青木 秀之 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40241533)
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Keywords | 高圧噴霧 / 微粒化 / パルス噴霧 |
Research Abstract |
超高圧パルスの噴霧特性に関して、広い空間および大気圧下における挙動の観察、測定を行った。また、現象を精度良く再現可能な非定常噴霧モデルを構築した。実験に関しては、ハイスピードカメラにより噴霧挙動を測定した。噴射間隔を2.5-5.0msで変化させ、同じ流量となるように噴射時間を調整した。ハイスピードカメラ画像を二値化処理し、パルス噴霧により生じる噴霧の濃淡を輝度値により定量的に評価した。その結果、噴霧間隔が長い場合、輝度値の最大値と最小値の差(噴霧液滴の数密度の高い領域と低い領域の差)が大きくなり、噴霧の濃淡が顕著に現れることがわかった。また噴射間隔が短い場合、濃淡がみられず均一に噴霧が分散していることがわかった。噴射間隔を変化させることにより、ノズル下流部におけるパルス噴霧の濃淡を時空間的に制御することが可能であることが実験により明確となった。この制御性は従来の定圧連続噴霧による噴霧燃焼法では実現不可能な燃焼場を形成することができることを意味する。また、数値解析に関しては乱流モデルとしてk-εモデルを適用し、非定常噴霧計算の高速解法を検討した。流体計算に関して、圧力速度結合解法や時間刻みに関して詳細に検討することで、計算時間を以前と比較して大幅に短縮可能であることがわかった。液滴の飛跡計算に関しては並列計算を実施することで計算時間を短縮した。本実験で得られたデータを数値解析の予測精度を確認するための検証に活用し、パルス噴霧流のパルス間の干渉が引き起こす複雑な流動場および乱流拡散作用の現象解明に向けて、数値シミュレーションによるアプローチが有効であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画では数値解析に関してLESに着手することになっていたが、現状、液滴分裂モデルや従来よく用いられている速度圧力結合解法であるSIMPLE系ではなく、SMAC法にも着手し、液柱の分裂表現や数値解析の高速化を達成している。これはLES解析着手の遅れ以上に重要な研究成果であり、しかも上記の進展部分については、LESにもすぐに応用可能であることも、計画以上に進展している理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
モデル開発要素については、液滴分裂モデルの検討、速度圧力結合解法の検討および計算の並列化による高速化など、十分な進展が得られている。今後は、パルス噴霧流の分裂挙動や分散挙動の定量化を行い、実験結果と比較することで、モデル精度の向上を行う。またパルス噴霧同士の干渉についてシミュレーションにより明らかにする。さらに、より高精度な乱流モデルを用いた数値計算を実施し、より詳細な現象の把握と計算手法の精緻化を図り、実現象の高精度予測法を確立していく。
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Research Products
(3 results)