2010 Fiscal Year Annual Research Report
一方向凍結・乾燥操作による水と微粒子のコロイド溶液からの多孔構造体の創成
Project/Area Number |
22360323
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大嶋 正裕 京都大学, 工学研究科, 教授 (60185254)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長嶺 信輔 京都大学, 工学研究科, 准教授 (30335583)
|
Keywords | 一方向凍結 / 多孔体 / ハニカム構造体 / 多孔質セラミック / 過冷却度 / 凝固 / コロイド溶液 / ファイバー |
Research Abstract |
近年、様々な材料で多孔質構造体が作製されている。多孔構造の作製方法には、発泡法やテンプレート法など様々な手法がある。そのなかで、テンプレート法の一種である溶媒結晶をテンプレートとした一方向凍結法による構造体の作製に注目が集まっている。一方向凍結法とは、均一な高分子溶液やコロイド溶液を一方向に凍結し、凍結後に凍結乾燥により溶媒の結晶を昇華・除去して構造体を作る。一方向凍結法の特徴として、テンプレートの除去が簡便であること、また無機・有機と様々な材料に適用できることが挙げられる。また凍結方向に配向した構造体が作製できる。 現在、この手法を用いて種々のコロイド溶液からラメラ・ハニカム・ファイバー構造といった様々な構造体が作製されている。またラメラ・ハニカム構造の孔径や構造体の壁厚は凍結速度、溶液濃度によって制御できることが報告されている。しかし、同一の材料(系)を用いてこれら一連の構造体を作製した研究はまだ行われておらず、構造の制御因子が十分に解明されていない。 そこで、本研究では2成分の金属融液の一方向冷却の考えを機軸に、これら一連の構造体を過冷却度とコロイド粒子の濃度の2つの因子を調整して同一材料から作製することを試みた。具体的には、アルミナ粒子(粒径200nm)、水、ポリエチレングリコール(PEG)から成るコロイド溶液を対象系としファイバー・ラメラ・ハニカム構造体の作製を試み、その構造の制御性ならびに金属融液における固化理論との相似性について検討した。結果、アルミナコロイド溶液を過冷却度、アルミナの体積分率を調整して、一方向凍結法により、同一系からすべての構造体(球状・ファイバー・ラメラ・ハニカム構造)を作製できた。 過冷却度はバインダー高分子の分子量、濃度、溶液粘度、凍結速度によって調節でき、過冷却度を増大させ、球状・ファイバ・ラメラの形態からハニカム構造に形態を遷移させることができる。また、球状、ファイバーおよびラメラ形態間の遷移は、アルミナ粒子濃度によって制御できることが明確になった。
|
Research Products
(3 results)