2011 Fiscal Year Annual Research Report
一方向凍結・乾燥操作による水と微粒子のコロイド溶液からの多孔構造体の創成
Project/Area Number |
22360323
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大嶋 正裕 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60185254)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長嶺 信輔 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30335583)
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Keywords | 一方向凍結 / 多孔性物質 / 混合溶媒 / 配向構造 / 連通構造 |
Research Abstract |
溶媒が2成分である系を一方向凍結法することにより得られる多孔体の構造とその構造決定因子を研究した。具体的には、1,4-ジオキサン(Dx)とtert-ブチルアルコール(TBA)の混合溶媒を用い、一方向凍結過程での、2種の溶媒の結晶形状ならびに生成順序が、一方向凍結法により得られる多孔構造に、どのような影響を与えるのかを明らかにしている。ここでは、紫外線硬化性モノマーを溶質として用い、溶媒に対する溶解度を高め、混合溶媒を凍結法の溶媒として用いることを可能にした。ジオキサンの混合比がブチルアルコールより高い溶液を一方向凍結すると、ジオキサンの結晶が先に凍結方向に成長しはじめ、そののち、先に形成されているジオキサンの結晶柱で拘束された空間中で、ブチルアルコールの針状結晶が成長し、約100μm径のジオキサンの結晶がテンプレートとなった孔構造とその孔構造の壁に凍結方向に配向性をもった5~10μm径の孔構造が共存するバイモーダル構造ハニカム多孔体が形成できることを明らかにできた。 また、溶質を2成分とし、孔構造の多様化(連結性)をも検討した。この実験では、オキサンに対する溶解度の高いポリスチレン(PS)と、溶解度の低いポリエチレングリコール(PEG)の2種類を混合したジオキサンを溶媒とする分散溶液を一方向凍結させ、マクロ孔同士が連通した多孔構造体を作製できることを示している。溶解度の違いからジオキサン中でPEGはPSよりも大きなグロビュールを形成しやすいことを、動的光散乱法を用い明らかにし、そのグロビュールの形成順序ならびに成長性が、マクロ孔同士の連結孔形成に重要な因子であることを見出している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画では、2年目までで、高分子系でのコロイド溶液の凍結乾燥による構造形成について、多成分化を図った実験を行い、その結果を整理し体系化を完了する予定であった。また同時に無機微粒子のコロイド溶液からの凝集による構造体の形成実験に移る予定であった。しかし、多成分化の実験結果の解釈に予定以上の時間がかかり、凝集による構造体形成の実験が遅れた。多成分化において構造形成のメカニズムの立証のために、多くの追実験と従来とはことなる測定を試みる必要が生まれ、確信をえるに困難を極めたことが遅延の最大理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
溶質が高分子素材であるコロイド溶液系において、溶質の多成分化、溶媒の多成分化した発展系での実験を行い、高分子系素材の一方向凍結乾燥による多孔体の創製について、その凍結現象と多孔構造の因果関係を明確にすることができ、当該系での体系化を大きく推進することができた。無機粒子が溶質である凍結・多孔材料形成実験を実施し、理論体系をはかる。
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Research Products
(3 results)