2010 Fiscal Year Annual Research Report
自己組織化過程における要素分子の拡散性とその定量化
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22360325
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
船造 俊孝 中央大学, 理工学部, 教授 (60165454)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
孔 昌一 静岡大学, 工学部, 准教授 (60334637)
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Keywords | 拡散係数 / テーラー法 / 金属錯体 / CIR法 / アミノ酸 / 超臨界流体 |
Research Abstract |
自己組織化過程の要素分子の拡散については、分子間の相互作用が重要であり、種々の溶質-溶媒系について溶質相互拡散係数値に及ぼす溶質・溶媒の分子サイズや極性、官能基の種類等の影響を明らかにするために、いろいろな系についての測定を目的とした。本年度は低圧から超臨界流体の高圧まで、種々の溶質-溶媒系における溶質の相互拡散係数測定のため、非定常応答法(テーラー法と筆者らが開発したクロマトグラフィックインパルス(CIR)応答法)による装置を製作した。装置構成は既存のものとほぼ同じであるが、新たに試料注入部の改良や検出器等の交換を行った。特に、ガス膨張液体中の場合、送液中の圧力や流速の安定性に重点を置き改良を施した。具体的な測定は、常圧下での水中の炭素鎖の異なるアミノ酸類をテーラー法により、超臨界二酸化炭素中における側鎖の異なるフェロセン類や核種の異なるアセチルアセトナート錯体などの金属錯体についてテーラー法とCIR法により、また、超臨界条件と液体の中間の密度域を有するガス膨張液体中のアセトン、ビタミンK3の相互拡散係数をテーラー法を用いて測定した。 いずれの系においても各測定値は拡散係数を温度と溶媒粘度との関数で表した流体力学相関式で、ある程度相関できることが分かり、溶質の分子サイズの影響は一義的には溶質分子量の-0.5乗に比例したが、非球形の分子や、極性の強い溶質分子に関しては、相関から外れることがわかった。また、ガス膨張液体中の拡散係数については、中密度域で流体力学相関式から外れ特異な挙動を示したが、その偏差量について十分説明できておらず、今後の課題である。CIR法では、拡散係数測定と同時に測定できる溶質保持因子を用いて溶質の溶解度を算出した。また、亜臨界・超臨界水中におけるNaClのイオン対の会合についてMD計算を行い、イオン間の相互作用について論じた。
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Research Products
(19 results)