2010 Fiscal Year Annual Research Report
恒久的にエステル交換触媒活性を発見する新規なアルコキシド型陰イオン交換樹脂の創製
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22360328
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
北川 尚美 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (00261503)
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Keywords | エステル交換反応 / 陰イオン交換樹脂 / 固体触媒 / アルコキシド型樹脂 |
Research Abstract |
本研究では、恒久的にエステル交換触媒活性を発現する新規なアルコキシド型陰イオン交換樹脂を作製し、その触媒特性や反応メカニズムを明らかにした上で、連続合成システムを構築することを目指す。研究期間は3年であり、初年度となる本年度は、触媒活性に及ぼす樹脂性状の影響を検討した。イオン交換樹脂には、分子サイズの大きなトリグリセリド(分子量900程度)の内部拡散のしやすさを考え、多孔性の強塩基性樹脂の中で最も架橋度と粒径が小さい三菱化学株式会社製Diaion PA306S(架橋度3%,粒径0.15-0.25mm)を用いた。樹脂は工場出荷時に置換基Cl型、水膨潤状態であるため、まず、置換基を効率よくアルコキシド型にする調製法の検討を行った。そして、樹脂を充填したカラムに脱水メタノールを通液することで水を除去した後、1.0mol/dm^3のNaOMe溶液を通液することによって置換基の70%程度をメトキシド型に変換できることが分かった。また、メトキシド型樹脂を用いた場合でも、OH型樹脂と同様に高いエステル交換活性を発現すること、反応系内に水が存在すると樹脂のメトキシド基とOH基とのイオン交換が生じるため、OH基型樹脂で問題となっている触媒活性消失反応が低頻度であるものの起こること、が分かった。さらに、PA306S樹脂と同じ組成を持ち、形状が粒子状ではなく繊維状(繊維径15μm程度)であるイオン交換繊維を触媒として、同様のエステル交換実験を行った。そして、イオン交換樹脂を繊維状にすることによって、扱い易さを保持しつつより小さな直径を達成でき、分子サイズの大きな反応物の触媒内拡散距離が短くなるため、エステル交換活性が著しく増大することが分かった。
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Research Products
(1 results)