2011 Fiscal Year Annual Research Report
アルコールを基盤とする環境調和型化学変換プロセスに向けた機能集積型触媒の開発
Project/Area Number |
22360339
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
水垣 共雄 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (50314406)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金田 清臣 大阪大学, 太陽エネルギー化学研究センター, 教授 (90029554)
實川 浩一郎 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (50235793)
満留 敬人 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (00437360)
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Keywords | 触媒・化学プロセス / アルコール / グリセロール / 固体酸塩基 / 固体化触媒 / ランタン / モンモリロナイト / 銅ナノ粒子 |
Research Abstract |
本研究では、ファインケミカルズ合成に向けたアルコールを基盤とする環境調和型の有機変換反応プロセスを実現するために、高機能触媒の開発を目的としている。我々のグループがこれまでに開発してきたモンモリロナイト(mont)やハイドロタルサイト(HT)、ハイドロキシアパタイト(HAP)、アルミナなどの無機結晶性固体やデンドリマーなどの有機高分子へ種々の金属活性点を集積化し、酸化反応や酸塩基反応、付加反応、脱水反応、置換反応、水素化分解反応などのアルコール類およびアルコール誘導体の官能基変換に高活性な固体触媒の開発を行った。 本年度は、当初目標の一つとしていたアルコールの官能基変換を行い、特に、水酸基の選択的アシル化反応を検討した。グリセロールのアセチル化体である、モノアセチルグリセロール(MAG)、ジアセチルグリセロール(DAG)、およびトリアセチルグリセロール(TAG)は、それぞれ、医薬品や化粧品、あるいはバイオディーゼルの添加剤などに用いられる有用な化合物である。しかし、これまでの報告では、種々のアセチル化体の混合物が得られ、高選択的な反応は困難であった。 我々は、モンモリロナイトの層間ナトリウムイオンをランタンイオンで交換したLa-mont触媒を開発し、グリセロールのアセチル化反応を行った。用いる酢酸量や反応温度などの反応条件をチューニングすることで、La-mont触媒が、MAG、DAG、およびTAGをそれぞれ90%以上の収率で与えることを見出した。さらに、DAGの合成では、位置異性体である1,3-及び1,2-DAGの混合物が2.5:1の比で生成するが、この混合物を銅ナノ粒子触媒で酸化することで、極めて高選択的に1,3-ジアセトキシアセトンが得られる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アルコールを基盤とした官能基変換において、当初計画で想定していなかったポリオールを用いた有用物質合成へ展開できることを見出した。特に、グリセロールのアセチル化と酸化反応を組合わせたジアセチルアセトン合成を新たに見出したことで実験期間を延長したが、アルコールを基盤とする新たな触媒反応系を開発しており、研究課題全体としては、おおむね順調に進行していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに見出してきた触媒系をもとに、新たなワンポットアルコール変換触媒系を構築する。銅系触媒が水素化分解のみならず酸化反応に対しても優れた触媒となることを見出しており、アルコールの酸化によるカルボニル化合物を中間体とする反応系を開発する。また、複数の水酸基を有するポリオールの選択的変換反応への応用を検討する。金属触媒と酸、塩基触媒との組み合わせによる協奏機能により、新たな高効率アルコール変換触媒系となると期待される。
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