Research Abstract |
メタンの水蒸気改質による水素製造は大きな吸熱反応であるため,Ni系触媒を用いた場合では1073~1223Kという比較的高い温度で行われる.電場を印加して触媒反応を行うことで,熱のみでの触媒反応では不可能だった低温域での反応が可能となる.本研究ではメタンの水蒸気改質において,電場を印加しない通常の触媒反応と,反応場に電場を印加した触媒反応(Electreforming)を行い,両者を比較することによって電場が触媒反応に及ぼす影響について検討した.さらに反応前後の触媒をH2雰囲気にてTGを用いたTPR測定を行い,その還元度から触媒に対する電場の影響について考察した. 固定床流通式反応器において石英管内部に触媒を充填し,その上下に電極を設置した.触媒はCe02及びSrTi03にPt,Pd,Rh,Niをそれぞれ担持し,200mgを充填して使用した.メタンをS/C=2となるように水蒸気とともに供給し,反応温度423~773Kにて反応を行った.また,触媒層の直下に熱電対を設置し,触媒層温度をリアルタイムで測定した.電場を印加する場合には電流値を3,0mAに固定し,数百Vの電位(触媒物性に依存する)を印加した.印加中はデジタルオシロスコープで電流電圧波形を測定した.生成ガスはGC-TCD,GC-FIDにより定性,定量を行った.TGは反応時間10~30minで行った触媒を313~1100KにてH2雰囲気(10%)で測定した.電場の印加により全ての反応温度において転化率が上昇し,特に低温域ほど上昇幅が大きかった.電場触媒反応により大幅な低温化を達成した.電場を印加した触媒反応によるメタンの水蒸気改質について検討を行った.担持貴金属触媒を用いて反応を行ったところ,電場印加によって活性が大きく向上し,反応の大幅な低温化を達成した.
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