2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22360340
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
関根 泰 早稲田大学, 理工学術院, 准教授 (20302771)
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Keywords | 触媒反応 / エネルギー変換プロセス / 資源・エネルギー有効利用技術 / 水素製造 / 電場触媒反応 |
Research Abstract |
各種化学物質の製造原料として及びクリーンなエネルギーキャリアとして水素が注目されており,その製造は主に炭化水素の水蒸気改質によっている。これは高温を必要とする反応であるが,電場を併用した触媒反応においては原料や触媒,反応場を活性化させる事で反応の低温化が期待される。これは他の特殊反応形態に比べてより低い消費電力量で反応を進行させる事が可能であるため,有用と考えられる。本年度は電場触媒反応による水蒸気改質反応の機構を解明することを目的とした。 本年は電場触媒反応による低温でのメタン水蒸気改質の検討を行った。触媒の担体として,格子酸素の易動性が高いものとして知られているCeO2やCexZr1-xO2を担体として用いて試験を行った結果,電場印加に伴いその活性が大きく向上した。活性向上に伴う反応温度の低下は250Kに及び,熱力学的に反応が進行し得ない低温条件においても電場触媒反応においては反応が進行する事が分かった。これまでは投入電流値を固定して試験を行ってきたが,投入電流値を1~4mAと変化させて試験を行った結果,活性は投入電流値に比例的に増加する事が分かった。電流値を印加した際の応答電圧値は,電流値の上昇に伴い低下する傾向が同時に観察され,本領域においてはほとんど投入電力量が変化しないことを見出した。これらを踏まえ,その積である投入電力量が活性に及ぼす影響を評価する為に物理混合触媒などを用い,同じ投入電流に対する応答電圧値を変化させ,つまり投入電力量を変化させて試験を行った。その結果,用いた触媒によらず電場触媒反応における活性は投入電力に比例的に増大する事が分かった。担体や触媒の物性によってその応答電圧値に変化が生じた為,電場触媒反応においてはその物性が大きく活性に影響を与える因子である事がわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画において解明が必要とされた反応への各種因子の影響が徐々に明らかになっており、本電場触媒反応の学理解明が大幅に進んだ。また応用として、ほかの反応への展開を併せて進めており、目標の達成度としては十分であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた知見を基にし分圧依存性を評価して反応速度式を導出,反応モデルを構築する。あわせて180種を導入した同位体交換反応を利用した試験を行う。又,反応がredox機構で進行している際に重要な指標となるOSCを定量的に評価,さらにはin-situDXAFS測定によってCeの価数や近接原子の経時的な挙動を観察し,Ceの価数変動に伴う格子酸素の移動性を評価する。さらに異なる触媒に対しても同様の検討を行う事で,そのメカニズムの触媒による違いを検討する。並行して物性の評価としてImpedance測定を行い担体の電気的物性と電場触媒反応における活性向上要因の関連を探り,TEM測定を通じて反応前後及び電場印加の有無による触媒表面状態の変化を観察する。
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