2011 Fiscal Year Annual Research Report
ペプチドチップ高度化にむけた高機能ペプチド捕捉分子群の創製
Project/Area Number |
22360341
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
三原 久和 東京工業大学, 生命理工学研究科, 教授 (30183966)
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Keywords | バイオチップ / ペプチド / 捕捉剤 |
Research Abstract |
1. ペプチド提示ファージ法による有用ペプチド捕捉分子群合成:より多様な種類のペプチド群を創製するために、遺伝子のライブラリから探索していく分子生物学的手法による方法を導入した。M13ファージを用いたペプチド提示ファージ法により、平成22年度にβループ構造を有するデザインペプチド群を合成する方法を確立した。これを用いて106乗~107乗個レベルのペプチドライブラリを構築し、抗がん剤の標的タンパク質であるジヒドロ葉酸還元酵素に対してスクリーニングを行い、酵素ポケットに特異的に結合するβループペプチドリガンド群を獲得した。 2. 糖結合ペプチドナノ粒子捕捉剤の設計・合成:単糖ペプチドを金ナノ粒子に結合させた捕捉剤を多種設計合成する研究を新たに追加した。15種類の単糖ペプチド群を設計・合成し、40nmの金ナノ粒子(GNP)と複合化した、単糖ペプチド-GNP捕捉剤を合成した。単糖ペプチド-GNP群は、標的糖結合タンパク質をGNPの集合化を利用した目視検査を可能とし、また単糖ペプチド単体と比べて、1000倍以上の強い結合性を示した。 3.細胞相互作用するペプチド捕捉分子群の開発:細胞解析チップが細胞の機能解析やガン細胞検査などにむけて注目されている。平成22年度に、ペプチドチップの有用性を格段に向上させるために、細胞と相互作用し、細胞機能を解析できる機能化ペプチド捕捉剤分子群200種を設計合成した。これらのリガンドを用いて、細胞との相互作用を解析できるペプチドチップとしての有用性を評価するために、構築した細胞毒性活性や細胞挿入活性評価システムにおいて、優れた性能を有するペプチド捕捉剤を獲得した。また、ペプチドの配列のわずかな違いにより細胞毒性活性や細胞挿入活性が大きく異なることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1. ペプチド提示ファージ法による有用ペプチド捕捉分子群合成では、βループ構造を有するデザインペプチド群を合成する方法を確立し、106乗~107乗個レベルのペプチドライブラリを構築し、抗がん剤の標的タンパク質であるジヒドロ葉酸還元酵素に対してスクリーニングを行い、酵素ポケットに特異的に結合するβループペプチドリガンド群の獲得に成功した。2. 糖結合ペプチドナノ粒子捕捉剤の設計・合成では、糖結合ペプチドナノ粒子捕捉剤の設計・合成において新たな捕捉剤ができることがわかり、追加調査・実験等が必要となり、全体の計画延長と予算の繰り越しを行った。結果として、15種類の新規単糖ペプチド群を設計・合成でき、単糖ペプチド-GNP捕捉剤を合成できた。単糖ペプチド-GNP群は、標的糖結合タンパク質をGNPの集合化を利用した目視検査を可能とし、また単糖ペプチド単体と比べて、1000倍以上の強い結合性を示した。3.細胞相互作用するペプチド捕捉分子群の開発では、平成22年度に、合成した細胞と相互作用し、細胞機能を解析できる機能化ペプチド捕捉剤分子群200種のリガンドを用いて、細胞との相互作用を解析できるペプチドチップとしての有用性を評価するために、構築した細胞毒性活性や細胞挿入活性評価システムにおいて、優れた性能を有するペプチド捕捉剤の獲得に成功した。また、ペプチドの配列のわずかな違いにより細胞毒性活性や細胞挿入活性が大きく異なることを見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
ペプチドチップ開発のために、以下のようにファージ提示法や糖結合型ペプチドなどを駆使して高機能化ペプチ ド捕捉剤分子群を創製する。1.ペプチド提示ファージ法による有用ペプチド捕捉分子群合成:平成22-23年度に確立したペプチド提示ファージ法による、βループ構造を有するデザインペプチド群の構築法研究に基づき、種々のタンパク質をターゲットにした捕捉剤ペプチド群の創製を実施する。2.糖結合ペプチドナノ粒子捕捉剤の設計・合成:平成22年度・23年度に設計・合成した糖結合ペプチド捕捉剤を、金ナノ粒子に結合させた捕捉剤を多種設計合成する研究を引き続き実施し、新規糖関連タンパク質も特異的認識ターゲットとする。3.細胞相互作用するペプチド捕捉剤分子群の開発:細胞解析チップが細胞の機能解析やガン細胞検査などにむけて注目されている。ペプチドチップの有用性を格段に向上させるために、細胞と相互作用し、細胞機能を解析できる機能化ペプチド捕捉剤分子群200種を平成22年度設計合成した。細胞との相互作用を解析できるペプチドチップとしての有用性を評価するために、金ナノ粒子結合ペプチドも含めて、細胞毒性活性や細胞挿入活性評価システム構築を平成23年度に引き続きさらに発展させる。
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Research Products
(5 results)