2011 Fiscal Year Annual Research Report
酵母の有機溶媒耐性に関わる転写制御カスケードの解明とその応用
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22360342
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
植田 充美 京都大学, 農学研究科, 教授 (90183201)
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Keywords | 有機溶媒耐性 / 生体触媒 / 転写因子 / 分子育種 / ストレス応答 / 細胞表層 / 薬剤耐性 / 相互作用因子 |
Research Abstract |
我々の国際特許出願を可能にした世界初の有機溶媒耐性酵母の転写因子PDR1の変異による多様な有機溶媒(親水的及び疎水的有機溶媒)耐性の表現型を分類し、これらの中から包括的に取得した制御因子群と多様な有機溶媒耐性との対応を整理し、有機溶媒耐性ストレスへの情報伝達システムのカスケード検索ならびに転写制御因子間の相互作用を基礎的に解析して、その成果を化学触媒からの脱却に有用な真に実用的な有機溶媒耐性生体触媒としての育種につなげることを目的とした。 DNAマイクロアレイ解析により、有機溶媒耐性酵母では、ABCトランスポーターや細胞壁タンパク質をコードする遺伝子の転写レベルの上昇が確認された。そこで、ABCトランスポーターや細胞壁タンパク質を分類し、さらに、それらの発現制御機構を調べた。すると、ABCトランスポーターに共通してプロモーター領域中にPDREが存在していたことから、PDREをもつ遺伝子の発現制御を行っている転写因子Pdrlpに着目した。Pdrlpは薬剤耐性に関連する多くの遺伝子の発現を制御しており、PDR1変異株が様々な薬剤に対して耐性を持つことから、本株についても薬剤耐性を調査した。また、これまで、細菌において、有機溶媒耐性と薬剤耐性の関連性が数多く報告されていることから、本株の有機溶媒耐性の原因もこのPDR1にあるのではないかと考え、この配列の分析を行った結果、野生株と比べて4カ所のアミノ酸変異の存在を発見した。特に、821番目のアルギニンがセリンに置換している(R821S)部位が注目すべき点である。この遺伝子は複数の遺伝子の転写を制御していることが考えられているので、相互作用因子を網羅的かつ包括的に取得するために、このPDR1と相互作用の考えられる因子やメディエーターを相互作用検出法と高分子解析質量分析を用いて現在同定しつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
着実に目標に向かって進んでおり、これから、論文などにしていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
このPDR1と相互作用の考えられる因子やメデイエーターを各相互作用検出法と高分子解析質量分析などを用いて同定を続ける予定であり、検出後にその因子の関連制御を明らかにしていく予定である。
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Research Products
(2 results)