2011 Fiscal Year Annual Research Report
化学品製造のために生体触媒利用技術を飛躍的にシンプル化するための基盤技術開発
Project/Area Number |
22360343
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大竹 久夫 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10127483)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本田 孝祐 大阪大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (90403162)
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Keywords | 好熱菌 / 合成代謝工学 / バイオプロダクション |
Research Abstract |
好熱菌Thermococcus kodakaraensis KOD1由来の耐熱性のfructokinase (FKT), phosphoiructokinase (PFKT)およびpolyphosphate kinase (PPKT)を発現させた大腸菌株をそれぞれ培養して得た湿菌体を、100mM HEPES-KOH (pH7.0)に一定の濃度比で懸濁し、スターラーで撹拌しながら70℃で180分間変換反応を行った。また、FKT、PFKTおよびPPKT酵素を同時に発現させた大腸菌形質転換株も用いて同様の培養を行い、複数の発現株の細胞を混合した場合との変換効率を比較した。なお、合成反応速度に及ぼす温度の影響が重要であるとの予備実験結果があったので、温度の制御については特に注意を払った。その結果、いずれの場合にも、変換率ほぼ100%で、フラクトースからフラクトースニリン酸の合成が可能であった。 また、glycerolからのglycerol-3iphosphateの生産を、100mLサイズの反応容器を用いて行い、昨年度に得られた結果のスケールアップが可能であるかどうかを調べた。その結果、polyPによるPPKT酵素活性の高濃度阻害を避けるため、polyPを間欠的に添加すれば、昨年度の100μLレベルでの実験結果が100mLレベルでもほぼ再現できることが確認された。これらの結果から、本技術を使えば、副産物を生成することなく、ほぼ100%の変換効率で、化成品の生産が可能であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
副産物の生成なしに目的産物が生産できるという合成代謝工学構築の目標の一つが、本年度の研究により達成できることを示唆することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
好熱菌の酵素が組換え大腸菌の熱処理時に細胞外に漏出するかどうかを確認する必要がある。もし、漏出することになれば、繰返し利用が難しくなる。その場合の対策としては、好熱菌の酵素タンパク質を細胞膜結合型のタンパク質などと融合させ、このキメラタンパク質を酵素反応に利用できるのではないかと考えている。
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