2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト細胞の活性状態を規定する工学パラメータの策定と細胞寿命評価
Project/Area Number |
22360344
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田谷 正仁 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (60144127)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾島 由紘 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (20546957)
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Keywords | 細胞活性 / ヒト細胞 / 細胞寿命 / 細胞移動速度 / 細胞面積 / ストレス負荷 / 遺伝子発見 / 残り分裂回数 |
Research Abstract |
1. 細胞活性の外的指による評価 外的指標としては,既に開発済みの細胞観察装置と画像解析ツールを活用して,ヒト培養細胞の平均移動速度を算出した.その際に、ヒト子宮がん細胞の培養中に抗がん剤であるカンプトテシンのストレス負荷を行ったところ、高濃度領域では極端な寿命の短縮が確認されたが、低濃度領域ではある程度の細胞増殖が保たれる代わりに平均移動速度が約3倍に増加した。これらの検討により得られた知見はこれまでに報告がなく、一般にがん細胞の移動速度はがん転移に関連するため、低濃度の抗がん剤への暴露ががん細胞の移動速度を増加させるという現象は、がん治療における抗がん剤の適切な投与を行う上で興味深い研究成果である。 2. 細胞活性の内的指による評価 細胞活性の内的指標の一つとして,カタラーゼやスーパーオキシドジスムターゼといった抗酸化酵素の遺伝子発現量をリアルタイムPCRにより確認した。測定対象としては、ヒト角化細胞を選択し、過酸化水素のストレス負荷の有無により継代培養を行い、培養中における増殖速度や細胞寿命の変化の解析塗行った。その結果、ヒト角化細胞は細胞寿命に近づいていく際に、残り分裂回数がある一定以下に到達すると細胞面積の増大と抗酸化酵素の発現量の増大が相関した形で引き起こされることが判明した。細胞面積は細胞の外的指標として、遺伝子発現量は内的指標として有効であり、細胞寿命との密接な関連性が示された。以上の研究成果は、これまでに報告のない新規性の高い内容として学会発表を行った。
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