2011 Fiscal Year Annual Research Report
マルチスケール操作による三次元血管化組織の形成と再生医療への応用
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22360347
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
梶原 稔尚 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (10194747)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水本 博 九州大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (90346817)
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Keywords | 再生医療 / 肝細胞 / 血管内皮細胞 / 血管新生 / 共培養 |
Research Abstract |
1.肝-内皮細胞複合組織作製用の肝細胞スフェロイドの大量調製 本研究では、内皮細胞に被覆化されたスフェロイド集積することによって肝-内皮細胞複合組織の形成誘導を行うため、肝細胞スフェロイドを大量に調製可能な手法について検討を行った。方法として、培養ディッシュ内での浮遊旋回培養を採用し、細胞密度と旋回速度について検討を行った結果、培養4日間で直径100μm~150μmのスフェロイドを大量に調製可能な条件を見出すことができた。さらに、スピナーフラスコを用いた浮遊培養法への応用について検討中である。 2.中空糸内で形成された肝-内皮細胞複合組織の機能評価 肝-内皮細胞複合組織について、細胞生存率と肝機能評価を行うことによって培養組織としての特徴付けを行った。培養組織の誘導は、血漿分離用中空糸の内部で行い、誘導条件として、(1)内皮細胞に被覆された肝細胞スフェロイドを集積して誘導した培養組織、(2)内皮細胞と肝細胞を分散状態で混合し、集積して誘導した培養組織、(3)肝細胞スフェロイドのみを集積して誘導した培養組織、(4)分散肝細胞のみを集積して誘導した培養組織、の4条件間での比較を行った。この結果、まず肝機能発現について、肝細胞を内皮細胞と共培養することによって肝細胞のみの場合と比較して高い肝機能が示された。次に、細胞維持率の経時変化について、内皮細胞に被覆された肝細胞スフェロイドを集積して誘導した培養組織において高い細胞維持率が示された。この細胞維持率の改善は、分散状態の細胞の共培養では示されなかったことから、培養組織内部に内皮細胞を規則的に配置することにより組織構造が変化し、細胞維持率が改善されたことが示唆された。現在、組織構造と機能発現の関連について検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は前年度の検討によって得られた細胞の空間配置手法や培養デバイスを用いて、種々の培養環境下における組織構造や機能との関連を明らかにすることを目的としていた。当初は酸素濃度やpH環境などの影響について検討する予定であったが、まずは同じ培養環境下において細胞の空間配置手法による違いを明確にする必要があり、その検討を行った。その結果、機能発現や細胞維持率、組織構造の違いが見出され、本手法が血管化組織構築の基盤技術として有望であることが示唆されている。従って、本研究は当初の計画と比較しておおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までの検討は、主に機能面からの評価であった。一方、本研究の目標は血管化組織の構築であり、今後は形成された組織内部の細胞の分布について解析を行い、組織構造としての評価を行う必要がある。まずは現在の条件下において組織内部での肝細胞と内皮細胞の分布を評価し、どのような組織構造が構築されているかを明らかにする必要がある。次に、流動環境や栄養環境が組織構造変化に与える影響を明らかにすることによって、本手法の血管化組織構築の基盤技術としての有用性を評価してゆく予定である。
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Research Products
(3 results)