2010 Fiscal Year Annual Research Report
細胞包埋ゲル充填多孔質担体培養技術を用いた実用的肝組織工学技術の開発
Project/Area Number |
22360348
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
井嶋 博之 九州大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (10274515)
|
Keywords | 肝組織工学 / 再生医工学 / 増殖因子 / ゲル / 脱細胞化臓器 / 血管網 / 多孔質担体 / ヘパリン |
Research Abstract |
細胞を包埋した増殖因子固定化ヒドロゲル充填スキャホールド培養系を用いた実用的な肝組織工学技術の開発を目指している。平成22年度は基盤技術の確立を目的として以下の成果を得た。 (1)増殖因子固定化ヒドロゲルによる細胞包埋培養系の構築 (1)タグ付き増殖因子の開発による増殖因子の固定化 哺乳類肝臓由来のトランスグルタミナーゼ(tTGase)の基質配列を有する強化緑色蛍光タンパク質(EGFP)を作製し、インキュベーションのみによる細胞外マトリックス成分のゲル化ならびにEGFPの部位特異的固定化を実現した肝細胞包埋培養技術を開発した。さらに、上記タグが付与された各種増殖因子を設計し、組み換えタンパク質としての生産を試みている。 (2)ヘパリン導入マトリックス開発による各種天然型増殖因子の固定化 ヘパリンを導入したコラーゲンおよびゼラチンを作製した。これらはpH調整もしくはtTGaseの添加によるゲル形成が可能であった。これら基材はゲル形成の有無に関わらず血管内皮細胞増殖因子や肝細胞増殖因子の固定化が可能であった。さらに、増殖因子固定化フィルムを作製し、血管内皮細胞培養による固定化増殖因子の生物活性の保持を実証した。一方、これら基材をゲル状態にてラットに皮下移植し、血管新生や移植された肝細胞の生着の向上に対する効果を示すことができた。 (2)脱細胞化臓器を用いた血管網構築技術の開発 ラット肝臓の脱細胞化条件の最適化を行い、完全な脱細胞化と大小さまざまな血管網構造の保持を両立することに成功した。血管網構造の内表面特異的なヒト臍膀帯静脈内皮細胞の付着とその維持、さらには血管網構造周辺への肝細胞包埋ゼラチンゲルの配置が可能であることを示した。以上より、脱細胞化臓器は臨床規模の臓器再構築の鋳型として有望であることが示された。
|