2012 Fiscal Year Annual Research Report
メタゲノムスクリーニングと進化分子工学的手法の融合による有用生体触媒の創製
Project/Area Number |
22360349
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
伊藤 伸哉 富山県立大学, 工学部, 教授 (90213066)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧野 祥嗣 富山県立大学, 工学部, 講師 (20347355)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 生体触媒 / メタゲノム / 進化分子アルゴリズム / 光学活性アルコール / スクリーニング |
Research Abstract |
PARならびにLSADHの類縁酵素遺伝子(ホモログ)の土壌メタゲノムからの直接PCR法による取得を行い、増幅条件の最適化、メタゲノムの種類、クローニングのハイスループット化を検討することにより、熱耐性や基質特異性が異なるPAR/LSADHの酵素ライブラリーの作成に成功した。PARのホモログ遺伝子については、数百個のライブラリーが取得でき、約200について遺伝子解析を終了した。また重複等を除いて得られた数十個のPARホモログのアミノ酸配列データと基質特異性及び熱安定性との相関データを取得した。その結果、熱耐性に関与する数か所のアミノ酸残基を特定し、変異箇所の選択により、PARの熱安定性を著しく向上させることに成功した。また条件設定の難しかったLSADHの酵素ライブラリーの作成にも成功し、LSADHのホモログ遺伝子約40個が得られた。特に、LSADHについては、ホモログというよりは、むしろ新規に近い酵素遺伝子群が取得でき、これらの遺伝子解析を終了した。 本研究の目標は、ランダムな変異とスクリーングという極めて手間のかかる作業を必要とする進化分子工学の手法を、メタゲノム由来の酵素遺伝子の配列情報(各々のアミノ酸配列と活性や安定性との相関関係)に代替し、汎用性の高い進化分子プログラムを開発する点にある。現在、PARのメタゲノムライブラリーから得られたホモログ酵素の熱安定性等のデータを基に進化アルゴリズムの作成を行い、これらを生体触媒プロセスの改良に用いている。またLSADHの酵素ライブラリーについては、基質特異性の変化や極性有機溶媒中での耐性を指標に、主にDNAシャッフリングによってLSADHよりも一段と優れた酵素触媒の開発を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PAR/LSADHともにメタゲノムからのホモログ遺伝子の取得に成功した。またPARホモログについては、これらの情報を基に、アミノ酸配列と熱耐性の関係も明確となり、実際、酵素の耐熱化にも成功した。LSADHのホモログ取得には時間が掛かったが、これについても新規な酵素遺伝子群が得られ、新しい発見に繋がった。こうした点から、研究計画はおおむね順調に進展していると評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
メタゲノム情報を基にした進化分子工学の手法をPAR/LSADHに活用し、より優れた酵素触媒、可能であればス-パー酵素触媒の創製を推進する予定である。また、この研究過程で取得したメタゲノミクスの新規手法を他の酵素触媒開発にも応用する予定である。
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