2011 Fiscal Year Annual Research Report
抗体医薬の最適化のための無細胞ディスプレイ技術の応用
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22360351
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
土居 信英 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (50327673)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳川 弘志 慶應義塾大学, 理工学部, 訪問教授 (40327672)
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Keywords | 蛋白質 / 進化 / バイオテクノロジー / ウイルス / 免疫学 |
Research Abstract |
前年度にCCR5の第2細胞外ループを模倣したペプチドに対して高い親和性を有するヒト一本鎖抗体の試験管内進化実験を行ったが、親和性の高い変異体を1つしか見出せなかった。親和性とHIV感染阻害活性に高い相関があるかどうか分からないので、できるだけ多くの高親和性抗体を取得してHIV感染阻害活性を評価したい。そこで本年度は、高活性の変異体をより多く含むことが期待できる「中立的浮動ライブラリー」を作成し、新たにmRNAディスプレイ法による試験管内進化を行った。 まず、野生型のヒト化抗CCR5模倣ペプチド一本鎖抗体の遺伝子を元にして1遺伝子あたり約2~3アミノ酸のランダム変異を導入した変異体ライブラリーを構築し、mRNAディスプレイ法を用いてマイルドな条件でCCR5模倣ペプチドに対する結合セレクションを行い、結合能を失わせる不利な変異を除去するというプロセスを4ラウンド繰り返し、1遺伝子あたり約10アミノ酸の中立変異を蓄積させた「中立的浮動ライブラリー」を作成した。この中立的浮動ライブラリーを用いてmRNAディスプレイ法による4ラウンドのOff-rateセレクションを行った後、競合阻害ELISAによって野生型よりも解離しにくいクローンをスクリーニングしたところ23クローンが得られた。その中でも結合力が特に強かった6クローンの配列を比較すると、L鎖のCDR1に多く変異がみられ、2つの重複した変異がみられた。そこで、この重複した変異のみをもつscFvを作成し、競合阻害ELISAを行ったところ、同程度の結合活性の向上がみられたことから、これらの変異が結合活性の向上に寄与していることが示された。 また、一本鎖の抗体だけではなく、二本鎖のFab抗体についてmRNAディスプレイ法による試験管内選択を実現するために、エマルジョンPCRとmRNAディスプレイ法を組み合わせた新しい手法の開発に着手し、モデル系を構築することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
抗CCR5抗体の試験管内進化の目処がたち、また、Fab抗体の新しい試験管内選択手法のモデル系構築に成功したことから、計画の主要項目は順調に達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
試験管内選択した一本鎖抗体をCHO細胞や大腸菌で大量発現しようとしてもなかなか発現しないクローンが多くみられたことから、二本鎖のFab抗体に組み換えて発現させるなどの対応策についても検討する。抗体の発現効率を改善する手法を確立することは、抗体医薬の生産コストの低減にもつながる可能性のある重要な課題である。
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Research Products
(4 results)