2010 Fiscal Year Annual Research Report
極超音速エンジンにおける非定常現象の解明および動的シミュレータの構築
Project/Area Number |
22360358
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
佐藤 哲也 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (80249937)
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Keywords | 推進 / ジェットエンジン / 非定常シミュレーション / 二相流 / インテークバズ |
Research Abstract |
本研究では、極超音速で飛行する予冷ターボジェットエンジンを対象として、システム全系の非定常シミュレータを構築することを目的としている。本対象は、加速機である点と燃料である液体水素が相変化を起こすという点で非定常性が強く、シミュレーションによって実験データを補間することにより、エンジン開発において大きなコスト削減となる。本年度は、基礎試験による主要要素のモデル化と統合シミュレーションの枠組みの構築を実施した。以下に成果を示す。 エアインテークの非定常現象の解明に関しては、超音速風洞試験を実施し、定常性能を取得するとともに、非定常現象であるDailey型バズを捉えることに成功した。始動、不始動、バズの発生条件と振動周波数についてのデータを取得し、周波数は、Mach数及び背圧によって変化するが、概ね20~30Hzであることがわかった。また、バイパスドア等によるバズ回避方法について実証した。 気液二相流の相変化の非定常特性に関しては、静電容量型のボイド率計とそれを応用した流速計測法を構築した。水-空気の疑似二相流を用いてこの計測器を検証し、高速度カメラによる画像データと概ね一致することを確認した。高速度カメラは、2方向から撮影するステレオ撮影法を導入し、精度を向上させた。さらに、液体窒素を用いた極低温混相流試験において本計測手法を適用し、低温時における温度ドリフトの影響についての知見を得た。 統合シミュレータの構築に関しては、市販の小型模型用ターボジェットを改造し、予冷却器および自作の制御系を搭載し、シミュレータ検証用供試体を製作した。一方、非定常シミュレータの枠組みをボリュームジャンクション法を用いて構築した。実験とシミュレーションの比較の結果、定常性能はほぼ一致し、非定常時の精度を向上させるためには、伝熱特性の組み込みが必要であること等の問題点が明らかになった。
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Research Products
(3 results)