2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22360362
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
井筒 直樹 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 助教 (90184639)
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Keywords | 宇宙航空工学 / 気球 / 膜構造物 |
Research Abstract |
本研究の最終的な目標は、数百kgのペイロードを搭載して上部成層圏に長時間滞空し、その飛翔経路の制御を可能にする新しい飛行体を開発し、上部成層圏における科学観測・実験を運用上の制限や不安定な高層気象条件に拘束されることなく可能にする新しい手段を実現することにある。本研究では、上記目標を推進するため、これまでの研究によって可能となった成層圏用耐圧大型軽量薄膜構造体を飛行母体としたときに、飛行制御を実現するために必要となる要素技術を確立し、搭載可能な飛翔制御システム等を飛翔実証試験が可能なレベルで具体化することにある。本年度は、以下に示す研究を実施し知見を得た。 最終的な飛翔実証試験用飛行体の仕様に基づき、浮遊高度到達時に満膨張となった通常の気球の形態から推進装置を動作可能な飛行形態に飛行体の姿勢を90度変更するための方法および必要となる装備についての検討・比較を実施し、機構の試作に向けた概念設計および準備を行った。 また、成層圏用推進装置を保持する機構について、昨年度試作したインフレータブル構造を発展させ、また、より比強度の高い膜材を用いて、地上での模擬試験が可能なレベルの構造体を製作した。新しい膜材についての耐圧試験を実施し所定の性能は得られたが、今後さらに膜厚の調整を行い性能の向上を行う予定である。一方、昨年度試作した成層圏用推進装置を発展させ、地上で相似試験が実施可能となるような1組の試験用推進実験装置を製作した。あわせて、推進装置を折りたたまれた状態から開くための機構についての予備試験を実施した。また、これらの装置を制御するための搭載装置およびセンサ系の構築および搭載ソフトウエアの開発に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
気球の放球時に作業性および安全性が確保される条件下で成層圏で推進装置を保持する構造をインフレータブル方式により実現しようとしている。これまでの数回の試作および静的試験により目標とする仕様に近づきつつある。したがって、おおむね順調に進んでいると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
気球搭載型成層圏用地上試験用推進装置とこれを保持するための構造を組み合わせて実際の気球に取り付けて模擬試験を行うため、試験母体となる地上模擬試験用小型気球が必要となる。今年度にこの気球のを製作を行う。また、推進装置等を制御するためのセンサおよびソフトウエアの構築を進める。
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Research Products
(2 results)