2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22360362
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
井筒 直樹 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, その他部局等, 助教 (90184639)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 宇宙航空工学 / 気球 / 膜構造物 |
Research Abstract |
本研究の最終的な目標は、数百kgのペイロードを搭載して高度30~35kmの成層圏に長時間滞空し、その飛翔経路を有効的に制御可能な新しい飛行体を開発し、成層圏における科学観測・実験を地理・時間・高層気象・運用上の制限を受けることなく可能にする新しい手段を近い将来に低コストで実現することにある。 本研究では、上記目標を推進するため、これまでの研究によって可能となった成層圏用耐圧大型軽量薄膜構造体を飛行母体としたときに、空気抵抗を軽減するための大きなアスペクト比を実現する気球の製造手法および飛行制御を実現するために必要となる複数の要素技術を開発し、飛翔実証試験の前段階となる地上模擬試験が可能なレベルでシステムを実現することにある。本年度は、以下に示す研究を実施し知見を得た。 前年度に改善を行った気球搭載型成層圏用推進機を保持するためのインフレータブル構造を用いた構造試験を実施し、使用膜材および構造の評価を行い、実際の使用差圧0.3気圧における形状を測定し安定性を確認した。前年度に製作した地上試験用推進装置を制御するためのソフトウエアの開発に着手し、これを利用して単体での性能取得試験を実施した。インフレータブル構造を取り付けて屋内試験を実施するための母体となる小型・高アスペクト比の俵型気球(直径5.7m、全長15.6m)を設計・製作した。ペイロードを搭載するための懸架機構、気球の姿勢を変更するための機構を設計・製作し、静的動作模擬試験を実施し、問題点を見いだした。また、推進装置搭載部において、模擬荷重による構造体の変形度を測定し、取り付け角度の確認を行った。さらに、飛翔を終了するための破壊機構となる気球引き裂き装置の検討を行い、搭載の目処をつけた。一連の試験結果をもとに、懸架機構および姿勢変更機構の調整を検討し、来年度の改修と再試験に向けた準備を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
気球の放球時に作業性および安全性が確保される条件下で、成層圏で推進装置を保持する構造をインフレータブル方式により実現しようとしており、所定の圧力差での実現に目処がついた。 ペイロードの懸架機構・全体の姿勢変更機構については、一部の試験を実施することができなかったため、若干遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度製作した俵型気球の懸架機構・姿勢変更機構に改善点を見いだしたため、仕様を再検討した後に改修を行い、静的試験を再度実施する。 また、ペイロードを吊り下げる方式を中央懸架式から頭尾部懸架式に変更したため、この機構を取り付けて静荷重試験を実施する。 さらに、実際に気球搭載型成層圏用地上試験用推進装置とこれを保持するための構造を組み合わせて上記俵型気球に取り付けて構造的に問題がないかを調べるための模擬動作試験を行う。 最後に研究のまとめを行う。
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Research Products
(1 results)