Research Abstract |
本研究は,船舶用ディーゼルエンジンから排出される粒子状物質(PM)を処理する,電気集じんシステム(ESP)を構築し,実用化を計ることを目的とした。まず初めに,帯電部と集じん部を有する2段式ESPの設計を行うため,性能パラメータにより,最適な電極構造の抽出を行った。性能パラメータを鋸歯電極の形状や電極長,電極ユニット数,印加電圧波形とし,さらに25m/sの高風速条件においても実験を行った。その結果,以下の知見を得ることができた。 (1)帯電部の放電電極において,鋸歯先端に再飛散粒子が付着し,コロナ放電の発生を阻害する。この問題に対し,鋸歯の設置方向を変えることで改善がなされた。 (2)帯電電極を改良し,放電空間の拡大により性能が向上した。また,帯電部の電極ユニットを複数設置すると,集じん率の向上が認められた。これらのことより,高風速条件において約80%の集じん性能が得られた。 (3)集じん部の電極長を長くして,集じん率の向上が得られた。また,矩形波交流電圧を印加し,直流印加よりも再飛散を抑制することができた。 次に,再飛現象を利用した,二重シリンダ型ESP考案した。この新方式の集じんメカニズムを解明するため,ESP内における粒子や再飛散粒子の軌道に関して,シミュレーション解析を行った。その結果,以下の知見を得ることができた。 (1)帯電空間に比べ,捕集空間の風速は約1/3となる。したがって,この圧力差により帯電空間から捕集空間へ気流が発生する。 (2)帯電した浮遊粒子は電極表面に捕集され,さらに再飛散粒子は気流の影響により捕集空間へ誘導される。 以上の成果は学術雑誌に掲載し,学会発表を行った。また,ESPを二重シリンダ構造とすることで,再飛散粒子を低風速域の捕集空間へ誘導できることから,今後は実排ガスにより二重シリンダ型ESPの性能評価を行うこととした。
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