2010 Fiscal Year Annual Research Report
会合状態の異なるポリマーを用いた摩擦抵抗低減メカニズム解明に関する研究
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22360376
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Research Institution | National Maritime Research Institute |
Principal Investigator |
安藤 裕友 独立行政法人海上技術安全研究所, 海洋環境評価系, 主任研究員 (70462869)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮田 修 独立行政法人海上技術安全研究所, 海洋環境評価系, 主任研究員 (10450678)
山口 良隆 独立行政法人海上技術安全研究所, 海洋環境評価系, 主任研究員 (20344236)
高橋 千織 独立行政法人海上技術安全研究所, 海洋環境評価系, グループ長 (40399530)
増田 光俊 産業総合研究所, ナノチューブ応用研究センター・バイオナノチューブチーム, 研究チーム長 (70358000)
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Keywords | 省エネルギー / トムズ効果 / ポリマー会合 / 超高分子量 |
Research Abstract |
低減効果のメカニズム解明に関しては,分子量分布の異なるPEO(ポリエチレンオキサイド)について,抵抗低減効果を計測し,分子量分布と低減効果の関係を検討した.この結果から,分子量が同程度で分布の異なるポリマー間では,分布の違いによる大きな差異は確認できなかった.また,濃度と低減効果の関係は,線形の関係を示すが,溶解初期では濃度200ppm以上で効果が抑制される傾向にある.また,濃度が低くなると,時間経過とともに効果が低下する割合が上がる。このことから効果のある状態を形成する要因として濃度依存性があることが推測される.PEO以外のポリマーとしてPAAm(ポリアクリルアミド),CMC(カルボキシールセルロース)などについても低減効果の関係を検討した.その結果からZ平均分子量/Z平均慣性半径と低減効果の相関関係には,PEOと大きな違いがないが,時間経過に伴う効果の持続性がPEOとは違う傾向を示した. ポリマーの合成に関しては,比較的低分子量のPEOをマクロモノマーとして用いて重付加反応によって疎水性官能基を高分子鎖に導入し,疎水部会合型ポリマーを新規に合成した.得られたポリマーの水溶性と親水部/疎水部の比を検討し,今後のポリマー合成について,重要な設計指針を得た.これらポリマーの会合挙動の測定法としては,蛍光プローブ測定や動的光散乱測定が有用であり,今回合成した疎水部会合型ポリマーの場合,濃度が1000ppm前後で会合体を形成することがわかった.また本ポリマーでは水溶液中での流動によって相分離が誘起され,このために摩擦低減効果が著しく低下する可能性が高いことを明かにした.この他,疎水部の連結様式や会合様式の異なる超高分子量ポリマーのデザイン,合成について検討し,原料の候補となるポリマー群やそれらの修飾法を選定し,モデル反応を実施した.
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