2011 Fiscal Year Annual Research Report
金属資源利用・散逸時間経路及びその温暖化ガス排出の廃棄物産業連関分析
Project/Area Number |
22360386
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
中村 愼一郎 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (20180367)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加河 茂美 九州大学, 経済学研究院, 准教授 (20353534)
中島 謙一 独立行政法人国立環境研究所, 国立環境研究所特別研究員 (90400457)
工藤 祐揮 独立行政法人産業技術総合研究所, 研究員 (90391094)
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Keywords | 製品LCA / 再資源化 / 環境マネジメント / 再生利用 / 再使用 / グリーンプロダクション / ゼロエミッション |
Research Abstract |
金属材料は高分子材料と異なりリサイクル性に優れているが,単体ではなく合金として用いられることが大半である.これは代表的金属耐久財である自動車において特に顕著である.使用済み自動車は我が国における重要な二次金属資源であるが,その現実のリサイクル過程においては分離・解体が完全ではないことから異種金属・合金の混合が生じる.特に電装部品に使われている銅の鉄スクラップへの混入は,圧延段階で問題を生じるため,スクラップの品質を低減させる.WIO-MFA((Nakamura Nakajima 2005))を用いた推定に依れば,自動車を構成する鉄源に占めるスクラップの重量割合は30%,老廃系に限ると10%である.自動車から回収した鉄スクラップの大半は自動車より品質要求の低い製品,例えば建設・土木,に投入されている.すなわち,リサイクルは自部門(自動車)で閉じた閉鎖系ではなく他部門における投入を前提した開放系なのである.この結果,2種類のロスが生じている.1番目は,スクラップが混合の結果元来の品質を満たさないため自動車に使用できない事から生じる品質ロスである.他部門で使用する場合にも,品質要求が満たされるとは限らない.銅などトランプエレメントの含有率が電炉製品の品質要求を満たさない場合,満たされるまで銑鉄を加えて希釈することが必要になる.この追加的な銑鉄(一次材)量が希釈ロスである,混入に基づく自動車スクラップの品質は,部品の分離・選別方法に大きく依存している.25種類の自動車構成部品についての先行研究を用い,2種類のスクラップ(解体スクラップ・破砕スクラップ)について銅の混入率をモデル推定した.その上で,品質ロス・希釈ロスを数種類のシナリオについてWIOを用いて評価した.その結果,これらのロス解消が資源投入・エネルギー投入・温暖化ガス排出削減に有意な効果を持つことを定量的に明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
混合により生じるスクラップ品質の低下をIOモデルで評価する方法を開発し,これを実際に廃自動車期限の2種類のスクラップ(解体スクラップ・破砕スクラップ)に応用し,シナリオ分析を行い国際学会で発表するまでに至った.ワイブル分布を用いた廃車発生推定とリサイクル可能生についても,国内学会で発表するに至った,
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Strategy for Future Research Activity |
この成果を踏まえ,来年度は開放系リサイクルの担い手である建設・土木系からの排出とリサイクル可能性,鉄鋼に付随する合金金属の回収・リサイクルを明らかにする.
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