2011 Fiscal Year Annual Research Report
再結晶状態で靱性に優れるタングステン材料の核融合炉ダイバータ利用に向けた開発研究
Project/Area Number |
22360388
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
栗下 裕明 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (50112298)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仲井 清眞 愛媛大学, 理工学研究科, 教授 (60038114)
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Keywords | タングステン / 遷移金属炭化物 / 再結晶脆化 / ダイバータ / 組織制御 |
Research Abstract |
タングステン(W)をITERダイバータ等の高温構造材料として使用する場合の最大の問題は再結晶脆化と照射脆化(いずれも粒界脆化)である。Wの粒界脆化克服のためには、従来の脆さ改善のために広く用いられている塑性加工法は有用でなく、新たな組織制御技術の開発が必要であった。そこで、研究代表者等は高温での粒界すべり(超塑性)を活用した新しい組織制御技術(GSMM:Grain boundary Sliding-based Microstructural Modificationとよぶ)を開発し、GSMMを遷移金属炭化物が分散したナノ組織をもつW材料に適用して、再結晶ランダム粒界が著しく強化された高靭性のTFGR(Toughened, Fine Grained, Recrystallized)W-(0.5-1.5)%TiCとW-(2.2-3.3)%TaCを作製した。そして、それらの基本的特性とともに、高熱負荷・粒子負荷等の極限環境下での利用可能性を調べるために国内外の多くの機関(海外7件、国内8件)と共同研究を進めた。 TFGR W-1.1%TiCは、酸素不純物濃度が400wppm以下であれば延性脆性遷移温度(無延性遷移温度:3点曲げにより評価)が室温ないしそれ以下であり、また、市販の純Wでは顕著な粒界亀裂や表面起伏が生ずる、電子ビームによる高熱衝撃負荷(例えば、ITER-ELMの条件)や繰り返し熱疲労に晒されても、全く亀裂や表面起伏が観察されなかった。一方、ITERダイバータに使用されるタイルのサイズ(約30mm x 30mm x 8mm)を作製可能な製造技術を確立するために、GSMMを適用可能な試験片スケールアップ技術の開発を行った。その結果、高温で高強度・高靭性の新たな圧縮治具を見出して1700℃で圧縮を行うことにより目的サイズにスケールアップすることに成功した。また、GSMM処理の可能な、温度・負荷・送り速度の可変制御機構をもつ熱間圧延装置の開発を継続して行い、チャンバーの設置、荷重の負荷機構・ローラーの送り機構の動作確認を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
再結晶状態で延性を示すタングステン材料の作製は初めてであり、その興味あるナノ組織と優れた特性を国際会議等で発表する度に多くの研究者からサンプル提供(共同研究)のリクエストを受け、サンプル作製のためにかなりの時間と予算を割いている。そのため、平成23年度は交付申請書に記載した計画以上の大きな進展は困難であった。但し、「GSMMが複合材料の高靭性化に対して広く有効であることを見出した」ことは、交付申請書に記載されていない内容である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は最終年度であるので、サンプルを提供した国の内外の研究者との連携をもっと密にし、共同研究の成果が確実に花開くように努める。
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Research Products
(16 results)
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[Journal Article] Recent Progress of Tungsten R&D for Fusion Application in Japan2011
Author(s)
Y.Ueda, H.T.Lee, N.Ohno, S.Kajita, A.Kimura, R.Kasada, T.Nagasaka, Y.Hatano, A.Hasegawa, H.Kurishita, Y Oya
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Journal Title
Phys.Scr.
Volume: T145
Pages: 6
DOI
Peer Reviewed
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