2011 Fiscal Year Annual Research Report
非鋭敏化粒界応力腐食割れのナノメカノテクノロジーによる物理化学的機序解明
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22360396
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
米澤 利夫 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10422081)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 真史 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (60312659)
呂 戦鵬 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (30419999)
宮原 勇一 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (90556747)
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Keywords | 原子力材料 / 環境強度 / 応力腐食割れ / 冷間加工 / SPring-8 / 粒界構造 / 残留応力 / 積層欠陥エネルギー |
Research Abstract |
近年、軽水炉環境下で、従来の学術的見解では説明できない「Ni基合金やオーステナイト系ステンレス鋼の鋭敏化によらない粒界応力腐食割れ」が相次いで生じ、重大な社会問題となり、応力、環境、材料面からの抜本的な学術研究が求められている。そこで、本研究では、(1)応力面からは、従来の材料力学の領域ではなく、ナノメータレベルでの結晶粒界近傍の応力・ひずみ解析を行い、(2)環境面からは、従来の応力腐食割れ後の観察・計測(謂わば死体解剖)ではなく、腐食環境下でのその場(In-situ)計測を基に生体としての腐食挙動解析を行い、(3)材料面からは、従来の常識にとらわれず、粒界酸化を加速させる物理要因(積層欠陥エネルギ等)を明確にし、ナノメータオーダーでの応力、環境、材料面からの学術的機序の創成を図ることとした。 本年度は、上記(1)~(3)に対して、昨年度に整えた供試材を用いて、(1)粒界応力腐食割れ発生応力と粒界局所応力との比較検討・評価、(2)粒界近傍積層欠陥エネルギー等物性評価、(3)In-situ X線回折による酸化被膜形態分析・評価、(4)長時間応力腐食割れ特性評価、を行い、粒界近傍の材料物性、腐食挙動が粒界応力腐食割れに及ぼす影響を検討し、応力状態、材料状態、環境状態に関する基礎データを得た。 具体的には、 (1)ラボX線によるマクロ的な粒界応力腐食割れ発生応力と、SPring-8を用いた極微小領域X線回折による粒界局所応力、との比較検討・一次評価。 (2)各供試材の積層欠陥エネルギー値の計測・一次評価。 (3)独自に開発した循環式オートクレープをSPring-8に設置し、288℃の高温高圧水中In-situ放射光X線回折による酸化被膜形態分析・一次評価。 (4)ラボのオートクレープ中で約4000時間の長時間応力腐食割れ特性一次評価。 を行った。今後さらに長時間の応力腐食割れ発生試験き裂進展試験を実施の予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Ni基合金やオーステナイト系ステンレス鋼の鋭敏化によらない粒界応力腐食割れについての学術的研究として、応力面からは放射光X線を用いてナノメータレベルでの応力ひずみ解析を進め、環境面からは、放射光X線を用いて高温高圧水中でのIn-situ解析・評価を進め、材料面からは、積層欠陥エネルギーに及ぼす冶金的因子の影響を明確にする等、交付申請書の研究目的に対して、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の目的達成のために、当初計画通り、今後下記内容を推進する。 (1)応力腐食割れ発生応力と粒界局所応力との比較検討・評価、 (2)積層欠陥エネルギー値等物性評価、 (3)In-situX線回折による酸化被膜携帯分析・評価、 (4)長時間応力腐食割れ特性評価。
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Research Products
(12 results)