2011 Fiscal Year Annual Research Report
硼素中性子捕捉療法のためのガス放射化を利用したビームプロファイルモニターシステム
Project/Area Number |
22360402
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
櫻井 良憲 京都大学, 原子炉実験所, 准教授 (20273534)
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Keywords | 硼素中性子捕捉療法 / 放射線計測 / 医学物理 / 放射線工学 / 粒子線治療 / 品質保証/品質管理(QA/QC) |
Research Abstract |
平成22年度に引き続き、運転再開後の京都大学研究炉(KUR)重水中性子照射設備の照射特性評価を行い、本研究に必要な基礎データの取得を行った。設備の照射特性評価と並行して、プロファイルモニターの作製を行った。ガス放射化ケースの形状および寸法については、前年度の結果を参考に決定した。ケースの中心軸を基準に同心円状のセグメントを配置し、外直径34、64、95、110mmの4つのセグメントを有するガス放射化ケースを作製した。KUR重水中性子照射設備において、作製したプロファイルモニターの特性評価実験を行った。アルゴンとネオンの2種類のガスについて評価を行った。各セグメントでのガス流量については、昨年度の結果を踏まえて、0.5~5ml/minの間で調整した。作製したプロファイルモニターで得られたプロファイルを、金等の放射化法や光ファイバー検出器による測定結果と比較したところ、相対的には良い一致を示すことが確認された。続いて、同じ形状よび寸法のケースを三層に多層化して、ビームの方向性の確認実験を行った。本プロファイルモニターによるコリメータ出口でのJ/φの評価値は0.6~0.7であり、従来の公称値0.67を誤差の範囲内に含む結果が得られた。最後に、同設備において患者を模擬したファントム実験を行い、プロファイルモニターの出力とファントム内中性子束分布との関係の確認を行った。これら平成23年度の研究成果から、作製された「ビームプロファイルモニターシステム」の特性および有効性が確認された。実際のBNCT照射時を想定すると、本プロファイルモニターによる各セグメントの出力は、事前シミュレーション結果の補正に有用であり、その不確かさは±10%程度に収まる見込みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プロファイルモニターのセグメントの数および寸法はまだ最適値として確定されておらず、今後、若干の変更の可能性はあるが、システム全体の完成度はおおむね計画通りである。本モニターシステムの特性および有効性についても計画時に設定した目標をほぼ達成している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の結果を踏まえて、各セグメントで得られる情報を事前シミュレーション結果にフィードバックするソフトウェアの作成を行う。フリーエアー実験およびファントム実験を行い、完成したシステムの特性評価を本年度に継続して行う。今後は、ケースを多層化したシステムに重点を置いて、ビームの方向性評価の検証を行う。可能であれば、加速器ベースの中性子照射場においても、本システムの特性実験を行う。
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Research Products
(4 results)