2011 Fiscal Year Annual Research Report
乾式再処理・溶融塩系におけるアクチノイドイオンの活量係数決定メカニズムの解明
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22360403
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山名 元 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (30283683)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 俊行 京都大学, 原子炉実験所, 准教授 (10314296)
上原 章寛 京都大学, 原子炉実験所, 助教 (30402952)
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Keywords | 乾式再処理 / アクチニド / 溶融塩 / 活量係数 / 錯体構造 / XAFS |
Research Abstract |
核燃料サイクルの高度化研究開発は、低炭素社会構築に向けての原子力長期利用の鍵を担うが、次世代の再処理技術としての乾式再処理への期待が大きい。アクチノイド元素の分離回収特性(分離回収効率や化学的な制御性)はそれらイオンの溶融塩中での活量係数の変化に強く依存する。申請者らは今まで、溶融塩中での紫外可視近赤外吸光分光法と電気化学的手法を組み合わせた「高温溶融塩電気化学分光法」を開発し、希土類、U、Pu、Npの溶融塩中での溶存状態の分析を行ってきた。昨年度では、ネオジムNd(III)の生成ギブスエネルギーが、溶融塩のカチオンの分極率と極めてよい相関性を有し、LiClのモル分率が高いほど、Nd錯体が不安定化することが分かった。また、Nd錯体(正8面体)の対称性がLiClのモル分率が高いほど低くなる結果得た。そこで本年度は、種々の溶媒塩中のNdの第一配位圏の局所的な塩化物イオン配位情報を得るため、広域X線吸収微細構造法(EXAFS)を用いた系統的な構造評価を行った。溶媒塩としては、LiCl、NaCl、KCl、RbCl、CsClを基本要素とし、これらを混ぜ合わせた混合塩や共晶組成の塩を溶媒塩として用いた。EXAFSスペクトルはSPring-8のBL11XUビームラインにて取得した。ビームライン上に設置した電気炉内にて923 Kに加熱し、溶融状態でのNdのK吸収端43.571 keV付近のEXAFSスペクトルを、透過法のクイックスキャンにて取得した。NdCl3が1 mol%の濃度で含まれるLiCl浴のうち、10mol%分がKCl、CsCl、CaCl2、BaCl2に置き換わった場合の混合塩についてEXAFS振動を得た。Nd-Cl間の距離はLiCl単独浴の場合を基準にすると、K、Caではあまり変わらず、Csでは短縮し、Baでは伸びている。EXAFSによって得られる情報はNdの第一配位圏に限定されるが、Ndが非常に希薄に含まれる場合においてでさえ、第二配位圏に存在しえる溶媒カチオンによってその配位構造に影響を及ぼしていることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本補助金の申請と並行しながら申請していた、Spring-8での共同利用、及び本実験所における共同利用研究を有効に活用し、申請内容であるネオジムを含む各種溶融塩試料の調製及び同試料を用いた高温溶融XAFS測定が実施できた。各年度で計画していた実施内容が実施されているものと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
ラマン分光により、アクチノイドイオン及び希土類イオンと、第一次配位圏において結合している塩化物イオン及び酸素イオンの振動エネルギーを測定する。紫外可視吸光による錯体の歪や対称性に関する情報を加味して、UO22+,UO2+の赤道面への塩化物イオンの配位距離及び配位数、U4+,U3+,Nd3+,La3+,Eu3+,Eu2+等についても同様に解析し、第一配位圏での塩化物イオンの配位状況を分析する。
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Research Products
(11 results)