2012 Fiscal Year Annual Research Report
乾式再処理・溶融塩系におけるアクチノイドイオンの活量係数決定メカニズムの解明
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22360403
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山名 元 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (30283683)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 俊行 京都大学, 原子炉実験所, 准教授 (10314296)
上原 章寛 京都大学, 原子炉実験所, 助教 (30402952)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 乾式再処理 / アクチニド / ランタニド / 紫外可視吸光分光 / 電気化学測定 / ラマン分光法 / 活量係数 / 溶融塩 |
Research Abstract |
アクチノイド元素の分離回収特性(分離回収効率や化学的な制御性)はそれらイオンの溶融塩中での活量係数の変化に強く依存する。申請者らは今まで、紫外可視近赤外吸光分光法と電気化学的手法を組み合わせた「高温溶融塩電気化学分光法」を開発し、希土類元素Ln及びアクチノイドの溶融塩中での溶存状態の分析を行ってきた。昨年度では、溶融塩中のネオジムNd(III)錯体の安定性の指標となるNdCl3生成ギブスエネルギーが、溶融塩のカチオンであるアルカリ金属イオンの分極率と極めてよい相関性を有し、LiClのモル分率が高いほど、Nd錯体が不安定化することを明らかにした。また、Nd錯体(正8面体)の対称性がLiClのモル分率が高いほど低くなる結果得た。また、LiCl-KCl混合溶融塩中において、Ln(ランタンLa、セリウムCe、プラセオジムPr、エルビウムEr、テルビウムTb)の塩化物錯体の安定性についても調査した。溶媒塩の分極率が小さいとき、LnCl3は6配位錯体を形成するため、Ln錯体の安定性はLnイオンの半径に対して直線関係を示すことが分かった。一方、分極率が大きいとき、イオン半径の大きいLa及びCe錯体は6配位以上の錯体を形成するため、Lnのイオン半径に対して直線関係を示さずLa及びCeは他のLnに比べてより安定化されることが分かった。本年度より新たにラマン分光法を測定系に導入し、紫外可視吸光分光法や電気化学測定法によって得られた結果とともに錯体の配位環境について調査した。各種Lnイオンを含む塩化物溶融塩中においてラマンスペクトルを測定したところ、Lnに配位する6つのClとの伸縮振動に起因するラマンシフトを観察した。この振動はLn錯体の対称性を評価するための指標になり、イオン半径の大きいLa及びCeの錯体は、イオン半径の小さいLnに比べてより対称性が低い(錯体のひずみが大きい)ことを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本申請で主に行ってきた分析法、紫外可視吸光分光法及び電気化学測定法に加えラマン分光法を新規に導入し、希土類元素の錯体環境に関する実験結果を得た。高温状態で液体のラマン分光実験を実施できる環境を整えたことは、今後の高温分光化学実験研究においても意義がある。各年度で計画していた実施内容が実施されているものと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の実験に引き続き25年度もラマン分光法を用いた、ランタニドあるいはアクチノイド錯体の配位環境調査を行う。25年度は最終年度であるのでこれまで行ってきた測定結果を総合し、溶融塩組成が及ぼすランタニド及びアクチニド錯体への安定性及び対称性への影響を分析する。
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Research Products
(3 results)