2011 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロセルを用いた腐食及び応力腐食割れの非破壊評価試験装置の開発
Project/Area Number |
22360407
|
Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
志波 光晴 独立行政法人物質・材料研究機構, 材料信頼性評価ユニット, グループリーダー (70242120)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山脇 寿 独立行政法人物質・材料研究機構, 材料信頼性評価ユニット, 主幹研究員 (20354194)
|
Keywords | AE / 液滴 / 腐食 / SCC / 塩化マグネシウム / ビデオマイクロスコープ / その場観察 |
Research Abstract |
研究の目的は、NIMSで開発された液滴腐食・SCC試験法を基礎として、アコースティック・エミッション(AE)及び光学顕微鏡によるモニタリング機能を付加することで、マイクロセル型腐食・SCCの非破壊試験法を確立することである。 研究実施計画は、まずNIMSで開発されたMgCl2液滴と薄板を用いた腐食・SCC試験方法を対象に、液滴内の腐食・SCCの進展過程のAE及び光学顕微鏡により連続的にモニタリングを行うことで、腐食ピットの発生・進展及び、応力腐食割れの発生から進展を検出可能な装置を試作する。次にこの装置を用いて、ステンレス鋼(SUS304、SUS316L)やNi基合金を対象に組成、熱処理、加工履歴、残留応力、表面性状などによる影響やSCC感受性を短時間で再現性よく定量的に評価できる手法を開発することを目標とする。 当該年度に実施した研究の成果として、液滴腐食試験時に確立したビデオマイクロスコープ(VMS)によるカバーグラスを用いて液滴内部を高倍率で観察する手法を板曲げSCC試験法に応用して、き裂進展のその場観察とAE計測を行い、SCCのAE源の同定を行った。 用いた材料はSUS304加工硬化材であり、板曲げにより応力を付加した試験片の引張り面に液滴を設け、その表面にカバーグラスを0.4mmのギャップに設定して置くことで、SCC試験時の液滴内部のVMS観察を可能にした。AE変換子は、長さ100mm板の両端に設置し液滴内部で発生するAEを板波として検出した。VMSにより観察されたき裂進展長さと累積AE事象数の関係において、AE事象の急増点はき裂進展初期に見られたが、き裂進展と直接の相関がみられなかった。SEM観察により、SCCの起点となったピット内に酸化物の割れが見られた。これまでの腐食ピットのAE及びVMS、SEM観察結果では、主なAE源は皮付きピット周りの腐食変質層の割れやピット内の酸化物の割れと考えられた。しかし、今回のSCC試験においてはき裂進展時にAEが検出されなかったこと、SCCの起点となったピットは皮付きピットではなく開口ピットであったことから、主なAE源はピット内の酸化物の割れではないかと考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
東日本大震災の被害がつくば市内の当研究施設に及び、震災復旧作業に時間をとられた。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度は、液滴SCC試験時のき裂進展挙動をVMS、SEM断面観察等でさらに観察しAE特性と対応させることでSCCのAE源を同定し、AEによる液滴SCC評価法の基礎を確立する。併せて、液滴に電極を設けてポテンショスタットと組み合わせ、腐食電位計測及び腐食電位制御を行いながら、VMS及びAEによる腐食進展挙動のその場観察が可能な腐食評価手法の開発を行う。対象とする材料は、SUS304及びSUS316Lの加工硬化材及び溶体化処理材であり、加工硬化と腐食の影響を評価する。 腐食電位計測の問題点として、直径1mm程度の液滴内部に微小電極を設置し同時にVMSによる表面観察を可能にするかであり、導電性ガラスをカバーグラスとして用いることで電極構造を構成し、微小な参照電極を液滴内部に安定して設置する手法を検討する。
|
Research Products
(8 results)