2012 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロセルを用いた腐食及び応力腐食割れの非破壊評価試験装置の開発
Project/Area Number |
22360407
|
Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
志波 光晴 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 研究員 (70242120)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山脇 寿 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 研究員 (20354194)
|
Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 応力腐食割れ / 非破壊評価 / その場観察 / アコーステック・エミッション / ビデオマイクロスコープ |
Research Abstract |
研究の目的は、NIMSで開発された液滴腐食・SCC試験法を基礎として、アコースティック・エミッション(AE)及びビデオマイクロスコープ(VMS)、腐食電位によるモニタリング機能を付加することで、マイクロセル型腐食・SCCの非破壊試験法を確立することである。 研究実施計画は、まずNIMSで開発されたMgCl2液滴と薄板を用いた腐食・SCC試験方法を対象に、液滴内の腐食・SCCの進展過程をAE及び光学顕微鏡等により連続的にモニタリングを行うことで、腐食ピットの発生・進展及び、応力腐食割れの発生から進展を検出可能な装置を試作する。次にこの装置を用いて、ステンレス鋼(SUS304、SUS316L)を対象に材料の組成、熱処理、加工履歴、残留応力等や、腐食電位によるSCC感受性、き裂進展速度を定量的に評価できる手法を開発する。 当該年度に実施した研究の成果として、ビデオマイクロスコープ(VMS)によるSCC試験のその場観察手法が確立できた。加工硬化材(A材)及び溶体化処理材(B材)ともき裂発生後はほぼ連続して進展し、き裂発生時間及び進展速度は、A材では45-82ks、 3.2-4.7x10-6m/ks、B材では344-358ks、2.1-3.8x10-6m/ksであった。AEは、A材のみで断続的検出され、B材ではほとんど検出されなかった。試験中の高倍率観察によりA材で検出されたAEは、発生したき裂の中から吹き出す水素バブルに対応した。X線CTにおいて、A材及B材ともき裂性状は検出できなかったが、B材では主に表面開口ピットが、A材では内部ピットが観察された。SCCの断面SEM観察において、A材ではX線CTで観察された内部ピットがAE発生位置に多く見られ、き裂内のピットに蓄積した水素がバブルとして吹き出したものがAE源であると考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
液滴SCC試験時のAE及びVMSによるその場観察法が確立でき、SCCの発生点、き裂進展速度をAE及びVMSで評価することができた。 SUS304のSCCの主なAE源として、き裂内部に発生したピットに堆積した水素がバブルとして吹き出したものであることがほぼ同定できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度である本年度では、SUS316Lを対象に液滴SCC試験時のき裂進展挙動をVMS、X線CT、断面SEM観察等でさらに観察し、AE源として推定されたき裂内部に発生したピットの発生組織と対応させる。それによりSUS304及びSUS316L鋼におけるSCCのAE源の組織及びその発生メカニズムを明らかにし、VMS及びAEのその場観察による液滴SCC評価法を確立する。 なお、当初予定していた腐食電位制御した液滴SCC試験は、VMSによる液滴内部のその場観察と同時に行うことが困難であったため、腐食電位を制御した他のSCC試験法のAE計測結果と対応させることで、液滴SCC試験法の腐食電位に関する検討を行う予定である。
|