2010 Fiscal Year Annual Research Report
ミクロチューブ型燃料電池セルの性能向上と発電ユニット化
Project/Area Number |
22360409
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
菊田 浩一 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (00214742)
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Keywords | 固体酸化物型燃料電池 / 低温作動 / 内部改質 / デイップコーティング / 触媒担持 |
Research Abstract |
本年度は、セラミックススラリーの金属線への多重コートによって、低温作動電解質であるガドリニウムドープセリアを用いたミクロチューブセルの作製を行った。従来から行なってきたサブミリ径からより大きな2ミリ径までのセルの作製では、乾燥段階での収縮制御によって目的とする三層積層体とすることができている。さらに、コーティングに用いるスラリーの組成を連続的に変更することでアノードの組成傾斜も可能となった。しかし、酸化ニッケルの量を大きくしすぎると、機械的強度などに大きな影響を与えることから限界のあることも確かめられている。水素を燃料とした場合のチューブセルの出力としては、目的とする1W/cm2以上の高出力は得られなかったが、0.7W/cm2を越える値には達しており、今後も引き続き検討を行う。 さらに、次年度以降に計画している多種の燃料に対応できるかどうかを考えるために、燃料として水素の次に考えやすいメタンを利用して発電性能評価を行った。従来、600度以下の低温作動型の燃料電池について、内部改質を利用した発電性能評価はあまり行われていなかった。本研究で作製したミクロチューブセルについて、このメタン燃料を用いた場合の評価検討を行なった結果、改質触媒を用いない場合には初期性能は良いものの急激に電圧が低下していく減少が見られ、この原因としてアノード上での炭素析出が観察された。しかし、金属触媒を担持した場合、初期電圧は少し低いものの長時間の運転でも安定しておりまた炭素析出も非常にわずかであることが確かめられている。今後は、積層プロセスの利点を生かしてこの触媒担持法も含めた検討を進めることにより、さらに多くのガス種に対して高い発電性能が期待できると考えている。
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