2011 Fiscal Year Annual Research Report
ミクロチューブ型燃料電池セルの性能向上と発電ユニット化
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22360409
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
菊田 浩一 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (00214742)
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Keywords | 固体酸化物型燃料電池 / 低温作動 / 内部改質 / ディップコーティング |
Research Abstract |
本年度は、昨年に引き続きミクロチューブセルのアノード層に対して、触媒機能を持つ酸化銅などの遷移金属酸化物の添加を試みた。この添加においては、昨年度の表面への付着だけでなくアノード層全体への添加を試みた結果、今までと比較して高い出力密度を達成でき、またその安定性も確かめることができた。さらに、この電極性能を高めるためにアノードの多孔質構造の制御も行った結果、より表面から気体が拡散しやすい構造とすることが可能となった。こうして作製したセルを用いて、新たな燃料として液体を利用した評価を開始しようと燃料気化システムを導入したが、現在、その濃度が十分なものとなっていない。これは、装置本体の改良や、さらに装置間の接続などについても改善を行うことで解決できるものと考えられる。 さらに、チューブ型セルとは異なる形状で、従来ミクロ型では作製されていない微細なコーン型形状のセルの作製についても検討を開始した。このセルは、両端固定ではなく一方のみの固定で利用するため、加熱中の応力発生などの問題がないことが推測される。そこで、チューブと同様のプロセスを用いて作製を試みた結果、セル表面に大きな亀裂が入り破損してしまうことがわかった。問題は各層間の収縮挙動の違いにあり、内部層をあらかじめ仮焼することによって収縮を抑制することで十分な強度を持つコーン型セルを作製できることに成功した。現在、アノード層などの組織制御は十分ではないものの発電性能の初期評価には成功しており、今後特徴を生かした利用が可能か検討したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、微細チューブセルを題材としてその電極層に触媒機能を付与するための元素添加などを行なってきており、現在メタンガスなどに加えて液体燃料の利用を考えた評価を計画している。しかし、導入した装置では十分な濃度が得られず今後の改良が必要となっており、全体的な計画が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの検討で作製することが可能となったミクロチューブ、ミクロコーン型セルを用いて、その発電性能を高めるための触媒添加、内部構造の制御を引き続き進めていく。この場合、ミクロコーン型セルの評価においては、特にガスの導入や集電構造などにも大きな改良が必要と考えられるために検討を行う。さらに、インタコネクタに金属を利用して、こうしたセルの直列化と発電性能の評価を行いたいと考えている。現在までに水素、メタンで行ってきた発電をさらに液体燃料で行うために必要な装置の改善も行う予定である。そして、燃焼ガスの連続モニタリングによって、より詳しく発電状態や炭素析出などについて調査する。
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