2011 Fiscal Year Annual Research Report
ガス貯蔵量増加と製造条件緩和の両立を図るガスハイドレート調製法の確立
Project/Area Number |
22360410
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
菅原 武 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助教 (20335384)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大垣 一成 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (80107078)
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Keywords | 水素 / 天然ガス / ガスハイドレート / 化学工学 / ガス貯蔵 / 高圧示差走査熱量計 / ラマン分光分析 / チューニング現象 |
Research Abstract |
当該研究の最終目的「チューニング現象のメカニズム解明・最適化」と「ハイドレート籠の再利用と圧力操作時の籠安定性の解明」を達成するために、平成23年度は、交付申請書に記載した「水素分子の籠占有性の経時変化」を主に研究し、その過程で「氷やハイドレート表面の界面現象に注目したハイドレート籠の連続再利用」に関する検討を行った。 氷と固体補助剤の混合物にガス加圧をすることでチューニング現象が発現することは研究代表者によって既に明らかにされていることである。しかし、現在までに有用な補助剤物質の融点は液体窒素温度に近い極めて低温であるため、補助剤の異なる導入方法を探索する実験を体系的に行った。結果として、固体補助剤が昇温時に昇華する状態、または氷と補助剤がハイドレートを作らずにアモルファス状態のようなミクロに分散している状態がチューニング現象の発現に最も効果的であること、逆に補助剤ハイドレートを氷で希釈するなどのハイドレートを出発材料として調製する方法ではチューニング現象は発現しないことを明らかにした。この結果は、ハイドレート籠の連続再利用の実現のためには重要な結果であり、部分的に空籠が存在するハイドレートの構造の安定性に大きく影響すると思われる。 チューニング現象のメカニズム解明に向けて、液体窒素温度から異なる昇温速度でハイドレートを調製した結果、昇温速度が大きい場合に水素の籠占有性が向上する傾向がみられた。これは、先の補助剤の温度上昇による液化・昇華速度に関係するものと考えられる。また、水素分子の籠占有に関する経時変化から、水素分子は、まず結晶内で直線的に連結している小さい籠を占有していき、その後、小籠から大籠へ水素が拡散していく現象が観察された。チューニング現象のメカニズム解明に向けた重要な結果であり、温度や圧力を変化させ、熱分析を駆使して、さらにメカニズム解明を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
チューニング現象のメカニズムの解明に資する数多くの重要な知見を得て、それらを組み合わせ、ハイドレート調製方法を探索する段階に入っており、最終年度の研究において、最適な調製技術を確立させたい。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得た知見を利用し、最適なハイドレート調製方法を探索するとともに、貯蔵媒体としての性能(リサイクル、長期安定性)を明らかにする。研究計画に変更はない。
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Research Products
(7 results)