2011 Fiscal Year Annual Research Report
新規イオンバリヤー荷電膜を用いた浸透圧発電システムの開発
Project/Area Number |
22360411
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
比嘉 充 山口大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (30241251)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 宣隆 山口大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (40314819)
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Keywords | 浸透圧発電 / 正浸透 / 内部濃度分極 |
Research Abstract |
本年度の研究では、PROにおける膜性能を評価するためのPRO膜モジュールを製作し、市販膜および作製した膜の性能評価を行い、PROに適した膜特性の検討を行うこどでPRO用の新規性浸透膜に求められる性能の見積もりを行った。 耐圧性の膜評価セルより膜モジュールを製作し、駆動溶液(DS)に種々の濃度のNaCl溶液、供給溶液(FS)に脱イオン水を通液し、時間変化に伴うDSの重量変化を電子天秤で秤量することで水流束Jwを算出した。出力密度はJwとDS/FS間の印加圧力差△Pの積で算出した。正浸透膜は市販のFO-1,FO-2膜および作製した膜を用いて測定した。 本研究で作製した膜モジュールは4MPaまでの△Pで測定でき、既報の研究(~1MPa程度)より広い圧力範囲での測定を可能とした。これはより浸透圧差の高いDSを用いた評価ができることを示す。いずれの膜もJwは△Pの増加に伴い減少した。これは〓Pの増加に伴い両溶液間の浸透圧差が減少するためである。Jw=0における〓Pの値が実効浸透圧差を示し、FO-1では2.0MPa、FO-2では2.7MPaであった。実験に使用した模擬海水(0.6mol/dm3 NaCl)の理論浸透圧差はVan't Hoff式から2.97MPaと算出され、実効浸透圧差はいずれも理論浸透圧差より低い値を示した。これは支持層内部でおこる内部濃度分極により実効浸透圧差が減少したためと考えられる。さらに出力密度は実効浸透圧差の半分の△Pにおいて最大値を示した。これは理論計算における結果と一致しており、作製した膜モジュールがPROにおける膜評価に使用可能であることを示す。また、得られた結果より膜の水透過性係数A値、塩透過性係数B値、内部濃度分極の指標である構造因子S値が算出できた。これらは膜のPROにおける性能評価を行う指標となる値として利用できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PRO性能評価に用いる膜モジュールの製作およびその性能評価法の確立は当初予定通り進行している。測定は4MPaまでの印加圧力差においても測定可能であり、得られたデータは予想された理論値とよく一致した。以上の点より、研究計画はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に引き続き、市販膜および自作のイオンバリヤー(IB)荷電膜による性能評価を行い、PRO用の膜に求められる性能の見積もりおよび目標を達成したポリビニルアルコール系IB荷電膜の作製を検討する。また、膜汚染や濃度分極による影響評価および長期連続試験を検討する。さらに得られた結果を基にシミュレーションを構築し、他の発電方法との比較を通して浸透圧発電の優位性の検証を行う。
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Research Products
(8 results)