2011 Fiscal Year Annual Research Report
エゾヤチネズミ個体群の遺伝的空間構造形成に関わる個体数変動と分散行動の効果
Project/Area Number |
22370006
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
齊藤 隆 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (00183814)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石橋 靖幸 独立行政法人森林総合研究所, 北海道支所, 主任研究員 (80353580)
岸田 治 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 助教 (00545626)
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Keywords | 生態学 / 動物 / 遺伝学 |
Research Abstract |
a)個体群の周期変動と遺伝的距離の関係:石狩湾沿いにある連続した森林にさまざま距離間隔で8調査プロット(0.5ha)を設置し,エゾヤチネズミの標識-再捕獲調査を実施した.プロット間の距離は50-2000mで,さまざま距離間隔で個体群間の遺伝的距離と地理的な距離の関係,個体の分散行動を分析することができる.個体数が石狩地方よりも数倍大きく変動する根室市で石狩地方と類似の調査を行った.捕獲個体数は石狩で約300頭、根室で約500頭に達し,現在DNAを分析している. (b)大きなスケールの個体群構造解析:前課題で収集したエゾヤチネズミのサンプル(1360個体)のmtDNAの分析をほぼ終了し,現在,沿海州のサンプルを含めて地理系統学的な解析を行っている.この結果に関する論文を近く投稿する予定である. (c)石狩湾個体群の解析結果:2009年の予備調査で採取したエゾヤチネズミのサンプル(162個体)のmtDNAを解析した結果,雌雄で集団構造に大きな違いがあることが分かった.メスの集団は500m以上離れると相互に遺伝的距離が大きな離れた個体群が見られ,比較的近距離から個体群の独立性が認められた.また,1.5km以上離れると遺伝的に類似していると見なされる集団は見られなくなった.一方,オスには個体群間の地理的距離と遺伝的な距離に明瞭な関係は認められず,個体群相互に遺伝的な交流がある適度保たれていた.これは,オスは良く分散するがメスは出生地に止まるという行動の雌雄差によって説明できる.この結果に関する論文を近く投稿する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
野外調査地め設定,調査実施は計画通り進展している.また,採集したサンプルのDNA分析も順調に進んでいる.分析結果も期待にそう内容を得ているので,以上の点については満足の行く親展を見せている.一方で論文の執筆に十分な時間を確保できず,年度内に投稿予定の論文が2本を次年度にずれこんでしまった.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は,論文執筆の遅れを取り戻すために,研究に費やす時間配分を調整する.野外調査,DNA分析などには積極的に研究補助者を雇用して,費やす時間を少なくし,論文執筆にエフォートをより多く配分する.
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Research Products
(2 results)
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[Presentation] Estimation of maintaining genetic diversity based on comparison between mtDNA and nDNA : small mammal as a model species2012
Author(s)
Kanke, E., Zenitani, J., Ishibashi, Y., Onishi, N., Anna Pauline de Guia, Kawai, K., Saitoh, T
Organizer
The 5th EAFES International Congress
Place of Presentation
龍谷大学(大津市)
Year and Date
2012-03-18