2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22370014
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
篠崎 和子 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (30221295)
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Keywords | 環境応答 / 低温ストレス / 発現制御 / 植物 / シス因子 |
Research Abstract |
高等植物の低温ストレス応答で重要な働きを示すAP2/ERFタイプの転写因子DREB1の上流の制御機構を解明するため、DREB1C遺伝子のプロモーター配列をつないだGUSレポーター遺伝子を導入した形質転換植物の解析により概日リズムと低温応答での発現に関わる配列の両方をそれぞれ含む転写開始点から上流-113から-47までの配列(WT配列)における転写制御について解析を進めた。 WT配列のうち領域1に結合する因子として単離されたPIF7遺伝子の変異体を用いて概日条件下におけるDREB1の発現量を定量RT-PCR法によって測定した。その結果、変異体では恒明条件下におけるDREB1BおよびDREB1Cの発現の概日リズムに応じた減少が見られなくなった。また、低温条件においてもDREB1の発現量を測定したが、全てのDREB1において顕著な変化は見られなかった。 領域2に結合する因子を酵母のワンハイブリッド法によって探索するため、領域1および領域3に変異を加えた断片をベイトとして含む酵母を作出した。また、プレイとして用いるため、低温処理したシロイヌナズナまたはより恒暗条件下で生育しシロイヌナズナより抽出したRNAを用いてcDNAライブラリーを作製した。 領域3に特異的に結合する因子として酵母のワンハイブリッドスクリーニング法を用いて単離されたCAMTA2を含む6つのCAMTAファミリー遺伝子についてT-DNA挿入変異体を収集し、ホモラインを作出した。それぞれの変異体について、CAMTAファミリー遺伝子の発現量が欠損していることを半定量RT-PCR法によって確認した。これらの変異体を用いて多重変異体の作出を進めている。また、それぞれの一重変異植物体を用いて低温条件下でのDREB1C伝子のmRNA蓄積量を解析したが、野生型と比べて顕著な変化は見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度までの解析により、DREB1遺伝子の概日リズムによる発現が低温条件下における誘導と独立して制御されることを明らかにした。低温条件下における誘導に機能すると考えられる因子の単離とその機能解析、また新規因子の探索も進んでいることから、おおむね順調に進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
領域1に結合するPIF7を含むPIFファミリー遺伝子の多重変異体を用いて、DREB1遺伝子の発現量を測定することによってPIFファミリーの機能を解明する。また、領域2に特異的に結合する因子の単離については、本年度に作製したcDNAライブラリー等を用いてワンハイブリッド法による探索を行う。さらに、領域3に結合するCAMTAファミリーについては、それぞれの組織特異的発現や細胞内局在を明らかにするとともに、多重変異体を用いてDREB1遺伝子の発現量を測定することによって、低温ストレスによる遺伝子発現におけるCAMTAファミリーの機能を解析する。これらの解析により、DREB1の発現を制御する経路で働く因子の同定を目指し,低温による遺伝子発現の全貌を明らかにする。
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Research Products
(3 results)