2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22370020
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
出村 拓 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (40272009)
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Keywords | 木質バイオマス / 二次細胞壁 / VND7 / セルロース合成 / ヘミセルロース合成 / タバコBY-2 / シロイヌナズナ / 共発現解析 |
Research Abstract |
木質バイオマスを構成する二次細胞壁の形成メカニズムについては、不明な点が多々残されている。私たちはこれまでに二次細胞壁形成のマスタースイッチであるVND7遺伝子を同定し、VND7の強制的な活性化によってシロイヌナズナ個体やBY-2タバコ培養細胞での高効率な二次細胞壁誘導系の開発にも成功した。さらに、二次細胞壁のセルロース合成に関わる新規膜タンパク質を発見した。そこで本研究では、これらの成果を発展させ、セルロースとキシランの合成酵素複合体の同定、VND7の機能制御機構の解析、共発現遺伝子群の機能解析、を通して二次細胞壁形成を統御するシステムに迫る。今年度は、(1)VP16-GR融合型VND7発現形質転換シロイヌナズナの確立、(2)セルロース合成酵素複合体の精製、(3)キシラン合成酵素複合体の精製、(4)VND7の機能制御機構の解析(復帰突然変異体のスクリーニング)、(5)新規制御遺伝子候補の同定、に取り組んだ。(1)では、シロイヌナズナとBY-2において安定した形質転換ラインの確立に成功した。(2)では、セルロース合成酵素活性サブユニット(CesA7)とTED6タンパク質の特異的結合を利用して、セルロース合成酵素複合体の精製を進めた。このテーマでは本学の深尾陽一朗博士の協力を得た。(3)では、キシラン合成活性の測定法の確立を試みた。蛍光標識キシロオリゴ糖を基質として高感度な活性測定法の確立を目指し、大阪大学の石水毅博士の協力のもとで、二次細胞壁形成を誘導したタバコBY-2培養細胞を材料とした活性検出を進めた。とくに細胞の破砕方法、ミクロソーム膜画分の可溶化法、反応温度、基質濃度、などの最適反応条件を検討した。(4)では、正遺伝学的手法によってVND7の機能制御に関わる新規遺伝子の探索を行った。(5)では、二次細胞壁形成に関与する新規の制御遺伝子を同定するために、VND7遺伝子や既知の二次細胞壁生合成酵素遺伝子と共発現する遺伝子の探索と機能解析を行った。
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Research Products
(6 results)