2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22370022
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
椎名 隆 京都府立大学, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (10206039)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉岡 博文 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 准教授 (30240245)
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Keywords | 葉緑体 / Ca2+ / エリシター / サリチル酸 / 光合成 / WRKY / 一重項酸素 / CAS |
Research Abstract |
昨年度までの研究で、葉緑体に局在するCa2+結合タンパク質CASがサリチル酸合成を通じて植物の病害応答に深く関わっていることを明らかにしていた。本年度は、葉緑体がSA合成を制御するシグナル機構を明らかにするために、マイクロアレイデータの詳細な解析とCASの下流で働く転写因子群の発現解析を行った。その結果、エリシターに誘導されてCAS依存に発現する遺伝子群が葉緑体の一重項シグナルの制御下にあることが強く示唆され、CASが葉緑体一重項シグナルの発生に関与する可能性が示された。また、病害応答に関与する転写因子群の解析からは、CAS依存の葉緑体シグナルへの応答で、WRKY転写因子群が重要な働きをしていることが示され、さらにサリチル酸合成に先立った葉緑体シグナルの発生があることが確認された。 また、病害応答に対する光の影響の評価も進めた。これまでに、エリシターが誘導するサリチル酸合成に光が必要であること、また、サリチル酸合成に先立つサリチル酸合成酵素の発現誘導にも光が必要であることを明らかにした。さらに、光合成阻害剤のDVMUによってもサリチル酸合成やサリチル酸合成酵素の発現誘導が阻害されることから、病害応答の光依存性には光合成が関与している可能性が考えられた。 さらに、葉緑体の転写装置がストレスや病原菌感染で制御を受ける可能性を検討するために、葉緑体染色体免疫沈降CpChIP法を確立し、光応答転写の解析に利用した。その結果、葉緑体の光応答転写は光によるRNAポリメラーゼの活性化によって引き起こされていることを明らかにした。また葉緑RNAポリメラーゼの機能に必須の新規アクセサリータンパクpTAC3の同定にも成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
染色体免疫沈降による葉緑体転写の解析の成果がProc.Natl.Acad.Sci誌に掲載され、葉緑体Ca2+結合タンパク質CASの病害応答における役割の研究が、Natture Communications誌にaccept in principleとなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、まず葉緑体がサリチル酸合成などの病害応答を制御する葉緑体シグナルの実体解明を第1目的として研究する。また、葉緑体の転写制御がその過程に関係している可能性についても更なる検証を進める。
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[Journal Article] Functional characterization of ObgC in ribosome biogenesis during chloroplast development2012
Author(s)
Bang WY, Chen J, Jeong IS, Kim SW, Kim CW, Jung HS, Lee KH, Kweon HS, Yoko I, Shiina T, Bahk JD
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Journal Title
Plant J
Volume: (Epub ahead of print)
Pages: 1-13
DOI
Peer Reviewed
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