2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22370027
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
中村 正久 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (40130025)
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Keywords | 両生類 / 性決定 / 性分化 / 遺伝子機能解析 / 性染色体 / ステロイドホルモン / トランスゲネシス / ツチガエル |
Research Abstract |
脊椎動物の性は性染色体に局在する遺伝子、所謂"性決定遺伝子"によって決まると考えられている。哺乳類ではSRY,鳥類のニワトリではDMRT1、魚類のメダカではDMYが見いだされ、性決定遺伝子は多様であることが分かってきた。しかし、性決定遺伝子によって性が決まるとされる脊椎動物でも種によってはステロイドホルモンの投与および環境の変化で比較的容易に性が変わる。今までの研究では孵化温度や体の大きさで性が決まる場合には性決定遺伝子が関与せず、ステロイドホルモンが重要な因子の一つと考えられている。事実、ステロイドホルモンを投与すると簡単に性が転換する動物もいる。性決定遺伝子で性が決まるメダカでもステロイドホルモンによって性が変わる。両生類でも幼生にステロイドホルモンを投与すると性が転換する。これらの事実は、脊椎動物の性決定にステロイドホルモンが深く関与することを示している。当研究室における今までの結果から、ツチガエルyの性決定時期に、(1)ステロイド合成酵素遺伝子が発現すること、(2)未分化性腺に酵素蛋白が存在すること、(3)未分化性腺で実際にステロイドホルモンが合成され、雄ではテストステロンが、雌ではエストロゲンが多く合成されること、(4)アンドロゲン受容体(AR)遺伝子はZ,W性染色体上にありW染色体のARは殆ど発現しないこと、などを見出している。本研究は、ツチガエルをの性決定がステロイドホルモンに依ることを実証するため、RをZW胚に導入したトランスゲニックカエルを作製してARが雄決定遺伝子かどうかを明らかにすることにある。そこで、AR導入用のDNAコンストラクトを作製してツチガエル卵に導入した。その結果、遺伝子の導入には成功したが導入胚数が少なく、ARが雄決定遺伝子かどうか断定するまでに至っていない。次年度は導入胚数を増やしそれを実証する予定である。
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Research Products
(3 results)