2010 Fiscal Year Annual Research Report
ハイマツ・キタゴヨウ交雑帯に働く自然淘汰の連鎖地図ベースでの解析
Project/Area Number |
22370030
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
綿野 泰行 千葉大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70192820)
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Keywords | 連鎖地図 / 自然淘汰 / 浸透性交雑 / ハイマツ / キタゴヨウ / 交雑帯 / グラフィカル・ジェノタイプ / 遺伝子浸透 |
Research Abstract |
本研究では、連鎖地図ベースで、ハイマツとキタゴヨウの交雑帯における遺伝子浸透のパターンから、交雑帯に働く自然淘汰を検出することを目的とする。ベースとなる連鎖地図は、ハイマツとキタゴヨウのF1雑種と推定される個体から採集した種子を利用して主にAFLPとESTマーカーを用いて作成されている。 本年度は、ソフトウェアSTRUCTUREのlinkage modelによる雑種個体のゲノムのグラフィカル・ジェノタイプおよび、複数山系の交雑帯の比較に必須な、遺伝子浸透のレベルの中立モデルからのずれの検出といった、基本的解析手法の検討を行った。1)グラフィカルジェノタイプ:連鎖地図作成個体と同じアポイ岳産のハイマツ(22)、キタゴヨウ(24)、雑種個体(2)の種子胚乳サンプルについて、連鎖地図上に載った約400のマーカーの遺伝子型を決定し、STRUCTUREのlinkage modelによって、個々の個体のそれぞれの遺伝子座について由来の推定(ハイマツ由来かキタゴヨウ由来か)を行った。アサインメントの成功率は82%であり、FST値が0.1以下のAFLPマーカー(約20%)を除く事によって、成功率の向上がみられた。2)遺伝子浸透のレベルの検定:本年度に採集した八甲田山系の100サンプルについて、9個の連鎖群のEST28遺伝子座の遺伝子型を決定した。八甲田山の下毛無岱で分子雑指数が0.84となり、16%程度キタゴヨウ遺伝子が浸透していた。採集個体の分子雑指数をもとに、遺伝子頻度の確率分布をシミュレーションによって求め、中立からのずれを検定した。28遺伝子座のうち、有意に頻度が高いマーカーが3個、有意に低いものが4個検出された。これが、自然淘汰による結果なのかを検証するため、次年度以降で他山系との比較を行う。
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