2011 Fiscal Year Annual Research Report
造礁性イシサンゴ類の分子系統および化石と現世の形態多様性に基づく分類体系の再構築
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22370033
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
深見 裕伸 宮崎大学, 農学部, 准教授 (50402756)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉原 薫 独立行政法人国立環境研究所, 生物・生態系環境研究センター, 研究員 (90320275)
立川 浩之 千葉県立中央博物館, 動物学研究科, 研究員 (90291111)
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Keywords | イシサンゴ / 分類 / 化石 / 系統 / 分子解析 |
Research Abstract |
平成23年度は、当初鹿児島県奄美大島での調査を予定していたが、オニヒトデの食害によりイシサンゴ類の多様性が低いとの情報を得たため、近辺の島である与論島にて調査を行なった。与論島では、これまで詳細な現生イシサンゴ類の種組成の調査を行なっていなかったが、今回の調査においてしっかりした種リストを作成することができた。全ての種を網羅出来たわけではないが、全140種を確認することができた。特に日本で未だほとんど出現記録がないウミバラ科のオキナワキッカサンゴEchinomorpha nishihiraiが見つかったのは大きな発見であった。また、今回の調査において、この種の生態の写真が原記載時から間違っていることを付く止めた。これは短報にて近く発表する予定である。また、他の場所では非常に稀な種が与論島には非常に多く生息していることも明らかとなった。この島の場所は、沖縄本島に近いものの、かなり遺伝的な交流が分断されている可能性が高い。 また、これまで採集した標本については、購入したデジタル顕微鏡による観察および岩石切片による解析、さらには分子生物学的手法による解析を行っている。ウミバラ科とオオトゲサンゴ科の分類体系の改変にういて論文の執筆が最終段階にはいっている。さらに、現在ハマサンゴ科であるアワサンゴ属が実はミドリイシ科に属するという結果についても同様に投稿最終段階である。また、キクメイシ属の分子系統解析の結果および形態解析がかなり完成に近づいてきたため、これについても現在執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
標本の採集および解析が順調にすすんでいる。原稿執筆が少し遅れているものの、今年度中には発表できることが確実である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、これまでの成果を国際サンゴ礁学会にて発表し、日本において現在イシサンゴ類の分類体系の改変を行なっているということを世界に発表し、他の研究者からの意見をもらう。特に、世界的なイシサンゴの分類の権威が集まるこの学会にて発表するのは非常に意義がある。また、やはり最終的にはヨーロッパに点在するタイプ標本の観察が不可欠である。計画では再来年度以降に行くため、それまでに結果をまとめるなどの準備を終わらせておく必要がある。
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