2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22370036
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
渡邉 信久 名古屋大学, シンクロトロン光研究センター, 教授 (70212321)
|
Keywords | 時間分割 / フリーズトラップ法 / 制限酵素 / X線 / 結晶構造 / 反応機構 |
Research Abstract |
1) 結晶の大型化とフリーズトラップ 大型かつ高分解能の結晶を安定に得ることを実現するため,cognate DNAとHindIIIの複合体の結晶化条件の探索を継続した.本課題開始前の結晶化条件(空間群P212121)と昨年度の空間群F222(分解能3.2Å)に加えて,新規にP21(分解能2.9Å)の結晶条件を得た.対称性も222でなくなり分解能も2.9Åと進展したが,反応機構の時分割解析を実施するには問題がある.この結晶で金属イオンソーキングによるフリーズトラップの試行を実施し,結晶内でDNA切断反応が進行することは確認出来た.また,構造解析の結果,この結晶ではcognate DNAが結晶パッキングに大きく影響していることが判明した. 2) スター活性 スター活性が知られている配列のnon-cognate DNAとの複合体結晶の構造解析を目指しているが, non-cognate DNAとHindIIIの安定な結合状態が観測されない.これはスター活性の発現に必要な金属イオン存在下では切断反応が進行してしまうためと判断し,切断反応を阻害する変異体を作成し,金属イオン存在下でnon-cognate DNAとHindIIIの複合体として結晶化して構造解析する戦略に変更した.このため,Asp93,Asp108の変異体を作成し,活性確認を行った.また,変異体の分子動力学シミュレーションによって金属イオンの結合状態を検証した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は結晶化条件を確立することが一番の目的であったため,結晶化用試料確保のために精製装置と分光光度計を導入した.そのため備品費割合が大きく,補助金3割削減が示唆された時点でほぼ7割を使い切っており,一時実験を中断した.その後,全額支給が決定されて実験を再開したが保有する大型遠心機が故障し,旧式のため修理対応が出来ず,実施がさらに大きく遅れてしまった.
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究課題では高分解能の解析が可能なcognate DNAとHindIIIの複合体結晶が必須であるため,結晶化条件の確立を急ぐ.今年度HindIIIの精製状態よりもcognate DNAの存在が結晶パッキングに大きく影響していることが判明したため,両者の量比の厳密な制御やさらにはcognate DNAの再設計で解決できると考えており,その方向で進める.スター活性の構造研究では,変異体は確立したため,金属イオン存在下で結晶化をすることで複合体結晶を得て解析を行うことを目指す.
|