2011 Fiscal Year Annual Research Report
金属タンパク質、高分子タンパク質複合体の質量分析法の開発
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22370040
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高尾 敏文 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (10197048)
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Keywords | タンパク質 / 酵素 / 生体分子 / 分析科学 / 質量分析 |
Research Abstract |
金属タンパク質は生体内で重要な働きをしている。酵素の約半数は活性発現に金属イオンを利用しており、その他多くのタンパク質においても機能獲得に金属イオンは必要不可欠である。本研究では、酵素タンパク質における金属イオンの配位特性(種類と化学量論)を質量分析により正確に調べる方法、並びに、100kDaを超える高分子タンパク質複合体の測定法を確立し、特に、金属の配位特性が未だ明らかとなっていない金属酵素タンパク質の金属イオンの配位と活性との関係を明らかにすることを目的とする。 金属タンパク質の金属イオンの配位特性(種類と化学量論)と活性との相関を明らかにするためには、酵素活性も測定できる水系の溶媒を用いてネイティブ状態で質量分析を行う必要がある。これを達成するために、当該年度では、既存の質量分析計に対して前年度試作したイオン源へのガス導入の仕組みとイオン導入の細孔径を変更したスキマーを用いて測定条件を検討した。その結果、以下1-3の金属蛋白質、4の抗生物質において良好な結果を得ることができた。現在、2と3については、金属配位特性や活性発現との関連を明らかにすべく、種々条件の検討を行なっている。 1)SOD-1におけるCU2+,Zn2+ 2)Rnase HにおけるMn2+ 3)カルノシナーゼIIにおけるMn2+、Zn2+ 4)抗生物質(クロモマイシン、ミトラマイシン)の金属配位 「連携研究者」奥村宣明(大阪大学蛋白質研究所)、役割分担:金属タンパク質の調製と活性評価
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既存の装置の改造により、当初計画にある水中のタンパク質の測定が比較的簡便に行えるようになった。実際に、生理的条件下における既知の金属配位に関する情報も得られており、研究はおおむね順調に進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
未だ明らかとなっていない金属タンパク質の測定を行なって本法の最終評価を行なうとともに、それらのタンパク質の生理的条件に近い状態(タンパク質濃度やpH等)での金属イオンの配位特性を明らかにする。
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