2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22370050
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
横田 崇 金沢大学, 医学系, 教授 (50134622)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小出 寛 金沢大学, 医学系, 准教授 (70260536)
赤木 紀之 金沢大学, 医学系, 助教 (70532183)
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Keywords | 幹細胞 / 自己複製 / エピジェネティックス / クロマチン・リモデリング / 細胞周期 |
Research Abstract |
胚性幹細胞(ES細胞)の自己複製制御機構を明らかにする目的で、エピジェティクス、クロマチン・リモデリング、細胞周期の3つの観点から解析を行った。エピジェネティックスについては、エピジェティクス因子であるEedを欠損したES細胞に観察される分化関連遺伝子の発現が、転写因子であるSox2の強制発現によって抑制されることを見出した。さらにこの分子機構を詳細に解析したところ、Sox2の強制発現はEed欠損によって起きるピストンH3のK27のメチル化低下には何ら影響を与えないのに対して、ヒストンのアセチル化の低下に対しては強い抑制作用を示し、アセチル化の上昇が未分化特異的遺伝子の発現促進を介して分化関連遺伝子の発現抑制へとつながっているという可能性を見出した。これらの結果は、ES細胞においては分化関連遺伝子の発現抑制よりも、未分化特異的遺伝子の発現促進を介して自己複製を維持している可能性を示唆している。またEedとSox2が互いの発現を正に制御するポジティブなフィードバックループを形成することによって、転写因子ネットワークとエピジェネティックス・ネットワークの間でのクロストークを可能としていることも明らかにした。一方、クロマチン・リモデリングに関しては、ES細胞の自己複製におけるリモデリング分子Baf53aの役割を検討するために、ターゲティングベクターを作製し、相同組み換えによる遺伝子破壊ES細胞を樹立している途中である。現在、片アリルが破壊された株の樹立に成功し、反対側のアリルの破壊を試みている。細胞周期に関しては、転写因子LRH1が細胞周期関連分子サイクリンEの発現調節を介してES細胞の増殖を正に制御していることを見出し、さらにサイクリンEがLRH1の直接の標的分子ではなく、LRH1とサイクリンEの間にE2Fファミリー分子が介在している可能性も見出した。
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Research Products
(10 results)