2011 Fiscal Year Annual Research Report
FLASHの有する多面的生物活性の分子機構と生理機能の解析
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22370052
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
米原 伸 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (00124503)
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Keywords | 細胞周期 / 転写 / Ars2 / CoREST複合体 / LSD1 |
Research Abstract |
FLASHのN末端領域に存在するcoiled-coil領域が、自己会合領域であることを我々が見いだし、ヒストンmRNAのプロセッシングを担う複合体との会合領域であることが報告されている。そこで、このcoiled-coil領域とEGFPおよび核移行シグナルを有する分子を強制発現させたときの効果を解析した。その結果、この分子の強制発現でFLASH発現のノックダウンと同じ細胞周期S期進行の阻害効果が認められた。この分子は、ドミナントネガティブな活性を有することが示唆された。そこで、この分子中のcoiled-coil領域中のアミノ酸残基をプロリン残基に変換する変異体を作製し、その効果を解析した。その結果、ドミナントネガティブな活性と自己会合活性は一致することが示された。 FLASHとCoREST複合体が会合することを示しているので、FLASHが細胞周期S期進行に関わるだけでなく、転写を調節するヒストンのメチル化状態に影響を与えるかを調べた。FLASHを293細胞に強制発現させ、細胞核全体でヒストンのメチル化状態を蛍光抗体染色で解析したところ、H3K4のジメティル化には影響が無かったが、H3K9のジメティル化が劇的に増強した。このことは、FLASHがLSD1を含むCoREST複合体と会合することにより、LSD1によるヒストンH3K9のジメティルに対する脱メチル化反応を阻害していることを示しており、FLASHがエピジェネティックな転写調節にも関わることが示唆され、興味深い。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
FLASHが既に明らかとなっている細胞周期S期進行に必須の役割を担うという活性以外に、エヒジェネティックな転写制御に関わるピストンのメチル化状態に重要な影響を与える活性を有すること、またヒストンの脱メチル化酵素であるLSD1を含むCeREST複合体と会合することを明らかにした。このように、当初目的としたFLASHの多面的な生理機能を示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
FLASHは核内でCajal bodyと類似した構造体を形成することが知られているので、CoREST複合体を形成するLSD1やCeRESTが、FLASHの構造体に局在するのかを示し、FLASHの構造体がCeREST複合体を取り込むことによって、CeREST複合体に含まれるLSD1によるヒストンの脱メチル化を阻害することを示す必要がある。
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Research Products
(5 results)